14 メイドさんのお出迎え
屋敷は石造りの西洋風の建物で、
まるでイギリスの貴族でも住んでいそうなほどに豪華で巨大である。
玄関の手前には十段ほどの石段があり、それを上りきるとそこに、
うら若い一人のメイド姿の少女が、両手を腰の前で合わせ、丁寧にお辞儀をしながら、
石段を上がって来た紳士クンと静香を出迎えた。
(や、やっぱり、メイドさんが居る・・・・・・)
ある意味予想通りの光景に、
紳士クンはそう思いながら目の前のメイドさんにお辞儀をして、
丁寧に挨拶をした。
「こ、こんにちは、あの、僕達、今日尚さんに招待してもらってここに来た、
蓋垣乙子と迚摸静香です」
すると目の前のメイド姿の少女は、
「はい、存じております」
と、妙にとげとげしい声でそう返し、ゆっくりと体を起こして、
紳士クンと静香に顔を見せた。
そしてその顔を見た紳士クンと静香は、
「わ!」
「えぇ⁉」
と、思わず驚きの声を上げた。
それは何故かと言うと、メイド姿でそこに立っていた少女が、
いつも尚と一緒に居る、あの剛木真子だったからだ。
「つ、剛木さん⁉どうしてこんな所で、メイドさんの格好をしているの⁉」
紳士クンが率直にそう尋ねると、真子は言葉づかいこそ丁寧だが、
極めてツッケンドンな態度と表情でこう返す。
「それは、私がこの屋敷でメイドとしてお勤めしているからでございます。
何か問題でも?」
「あ、いえ、問題はないんですが、
ちょっと意外と言うか、びっくりしちゃって・・・・・・」
そう言って言葉を詰まらせる紳士クン。
そして傍らに居た静香は、真子から身を隠すように紳士クンの背後に立ちすくむ。
そんな二人を交互に見やった真子は、屋敷の重厚で大きな扉を開け、
中に促すように言った。
「こんな所で立ち話も何ですので、中へどうぞ。お嬢様(、、、)が首を長くしてお待ちです」
真子の言葉を受け、紳士クンと静香は顔を見合わせ、
勇気を出して屋敷の中へと足を踏み入れたのだった。




