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11 針須さんのおうち
それから約一時間後、電車に乗り、バスに揺られ、それから十分ほど歩き、
紳士クンと静香は、ようやく尚の家の前にたどり着いた。
そこは山の手の高級住宅街で、
いわゆる一般庶民の紳士クンや静香の家とは比べ物にならないほどに、
大きくて豪華な住宅がズラッと並んでいる。
そんな中で、紳士クンと静香は、
さほど迷う事なく尚の家の前にたどり着く事ができた。
事前に尚の家の場所を教えてもらっていたという事もあるが、
それ以上に尚の家が、この住宅街の中でも断トツに大きなものだった事が、
その理由である。
それは家と言うより、お屋敷と表現した方が相応しい程に壮大な規模のものだった。
敷地の外周は立派で頑強なレンガ造りの塀に囲まれ、
それが門柱からどこまでも遠くまで伸びている。
そして門柱の間に構える門も実に立派なもので、
紳士クン達の通うエシオニア学園のお城のような門と比べても、
全く見劣りしないものだった。
そのあまりに敷居の高過ぎる門を前にして、
紳士クンと静香はぽか~んと口を開けて立ちつくしていた。




