5 ガッシリムキムキ、紳士クン
そう思いながらも紳士クンは男子部の制服に着替え、姿見の前に立った。
そしてそこに映った自分の姿を見て、またまた違和感を覚えた。
いつも女子の制服を着ている紳士クンが男子の制服を着たからという訳ではなく、
紳士クンの体つきがやけにガッシリして筋肉ムキムキで、
一言で言うなら男らしかったのだ。
(ぼ、僕ってこんな体つきだったかな?)
紳士クンは撫子とほとんど背の高さが同じで、
体つきも撫子と同じくらい(むしろもっと)細く、
『たくましい』とか
『ガッシリした』という表現には全く当てはまらない体つきで、
それが紳士クンには大きな悩みのひとつでもあった。
が、今目の前の姿見に映っている紳士クンの姿は、
それはそれはたくましく、ガッシリしていて、
正に紳士クンが憧れていたような理想の体型になっていた。
身長も撫子より頭ふたつくらいは大きい気がする。
その事は、撫子と一緒に家を出てからすぐに証明された。
撫子と並んで歩いてみると、
実際に紳士クンは撫子よりも頭ふたつほど身長が大きくなっていた。
いつもと違い、撫子を見下ろしながら紳士クンは撫子に尋ねる。
「お姉ちゃん、何か僕、急に背が伸びたのかな?
それとも、お姉ちゃんの方が縮んじゃった?」
それに対して撫子は、呆れた顔でこう返す。
「私の背が縮む訳ないでしょう?
それにあなたは元々私より背が高かったじゃないの。
でも、最近また伸びたのかもしれないわね。
あなたもどんどん男らしくなっていくわね」
「お、お、男らしく・・・・・・」