9 命がけの試練に挑むような勢い
「大丈夫です!僕も一緒に行きますし!
もし、万が一にも静香さんが嫌がるような事を言われたりされたりした時には、
僕が必ず守ります!」
紳士クンが右手の拳をグッと握って力強くそう言うと、
静香はその紳士クンの右手を両手で包み、訴えるように言った。
「本当ですか?
もし、私が地下の牢獄に閉じ込められたり、
海賊にさらわれて外国の闇商人に売り飛ばされそうになったり、
村をタタリから救う為に神様の生贄にされそうになったとしても、
私を守ってくれますか?」
「そ、そんな事は万が一にもないとは思いますけど・・・・・・
もしそうなった時は、僕が必ず静香さんを守ります!」
「そう、ですか・・・・・・」
紳士クンの言葉を聞いた静香は静かにそうつぶやき、
紳士クンの右手から両手を離してこう続けた。
「乙子さんがそこまで言ってくれるなら、
私、針須さんのお家にお伺いしようと思います。
どうか、私の事を守ってくださいね?」
「は、はい、任せてください」
(ただ、針須さんの家に遊びに行くだけなのに、
何だか命を賭けた試練にでも挑むような感じになっちゃったなぁ・・・・・・)
静香が尚の誘いに応じてくれた事にホッとしながらも、
少しばかりの不安を感じずにはいられない紳士クンだった。




