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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅳ  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンと尚のお誘い 
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8 予定は、ない

その後ろ姿を眺めながら、精神的にも体力的にも大きく消耗した紳士クンは、

思わずその場にへたりこんでしまった。

紳士クンは尚の事が決して嫌いではなかったが、

そのえも言えぬエネルギーに、いつも圧倒されてしまうのだった。

するとそんな紳士クンの背中に、おずおずと声をかける女子生徒が一人。

「あ、あの、乙子さん?大丈夫、ですか?」

 その声に紳士クンが振り向くと、いつの間に戻って来たのか、

静香が心配そうに腰をかがめ、廊下にへたりこんだ紳士クンを見下ろしていた。

それを見た紳士クンはすぐに立ち上がり、静香の方に向き直ってこう返す。

 「大丈夫です。ただちょっと、尚さんの迫力に圧倒されていただけですから」

 そう言って紳士クンは気丈に答えたが、

静香は申し訳なさそうな様子で紳士クンに言葉を続けた。

 「あの、ごめんなさい、私をかばってもらって。

針須さん、私が逃げたりして、凄く怒っていたのではないですか?」

 それに対し、紳士クンは両手をブンブン横に振って言った。

 「全然怒ってませんよ。

それより、ぜひとも静香さんと僕を自分の家に招待したいって言ってました。

あの、今度の日曜日、静香さんの予定は空いていますか?」

 「こ、今度の日曜日、ですか。

その日は、あの、私、その、ちょっと、予定が、え~と・・・・・・」

 「無いんですね?」

 咄嗟の嘘が出てこない様子の静香に紳士クンがそう言うと、

静香は観念したようにコクリと頷いた。

その静香に、紳士クンはひとつ息をついて言った。

 「まあ、静香さんがどうしても嫌だというなら、

針須さんに丁重にお断りしておきますけど、

せっかくこれだけ熱心に誘ってくれるんですから、

一度くらいお伺いしてもいいんじゃないですか?

針須さんは静香さんの事を本当に心から慕っていて、

仲良くなりたいからこうして誘ってくださっているんですよ?

何も怖がる事はないですよ」

 「本当に、大丈夫でしょうか?」



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