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4 こんなお仕置きならいくらでも受けたい説
これは何の音かというと、撫子が人差指で紳士クンのオデコを
『ちょん』
と突っついた音である。
そして撫子は少しだけ頬を膨らませ、
優しく言って聞かせるような口調で紳士クンに言った。
「失礼しちゃうわね。私はいつも女性らしく振る舞っているつもりよ?
お姉ちゃんをからかってないで、早く朝の支度を済ませちゃいなさい」
「あ、うん・・・・・・」
撫子の言葉に、紳士クンは目を点にしてうなずく。
(な、何だろう、この感じ。
お姉ちゃんが凄く優しくて女性らしい感じになってる・・・・・・)
いつもの撫子ならこう言う時、
『なぁんですってぇっ⁉』と叫びながら紳士クンのホッペを、
パン生地をこねるパン職人ばりにグニーンと引きのばすのだが、
今の撫子にそんな事をする雰囲気はこれっぽっちもなかった。
(お、おかしい、何かがおかしいよ・・・・・・)




