2 男の紳士クンが男子部に通うのは当然
(あれ?これってエシオニア学園の男子部(、、、)の制服だよね?)
そう、今撫子が紳士クンに差し出しているのは、
撫子と紳士クンが通う私立エシオニア学園の男子部の制服だった。
まあ、紳士クンはその名の通り、身も心も完全な男なのだが、
カクガクシカジカな事があり、今はエシオニア学園の女子部に、
女子生徒として通っている(その辺の詳しい事情は、第一巻参照)。
なので普段は紳士クンも撫子と同じ、
ワンピースのセーラー服を来て学園へ行くのだが、
今、撫子が紳士クンに差し出しているのは、男子部の制服なのだ。
その事に少なからぬ違和感を感じている紳士クンは、
首をかしげながら撫子に訪ねた。
「あの、これ、男子部の制服だよね?どうして僕が男子部の制服を着るの?」
すると撫子は整った眉を少しばかり変な形にゆがめてこう返す。
「どうしてって、あなた男でしょう?
男のあなたが男の制服を着て学校へ行くのに、
何の疑問があるというの?
これ以上当たり前で筋の通った話はないでしょう?」
「え、あ、まあ、そうか・・・・・・」
撫子にそう言われ、納得する紳士クン。
確かに撫子の言葉は何の疑問も矛盾もないのではあるが、
今や女子の制服を着て女子生徒として学校生活を送るのが、
あまりに当たり前になっていた紳士クンは、
撫子が言った事にかえって物凄い違和感を感じるのだった。
(そ、そうか、僕は男で、
真の男らしいジェントルメンを目指しているんだった。
その僕が男の制服を着て男の学校に行くのは当然じゃないか。
どうしてその事に違和感を感じるんだ!)
そう思い直した紳士クンは、撫子から男子部の制服を受け取った。
そして目の前の撫子の姿を見て、またひとつ違和感を覚えた。
(あ、あれ?)