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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅳ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンとつきまとう乙女
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7 変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態(以下同文)

 その後の午後の授業。

この時間は数学だったが、紳士クンは教壇に立つ先生の話が一向に耳に入ってこず、

全く授業に集中できないでいた。

それもそのはず。

昼休みに紳士クンの周りを泳ぎ回っていた浮遊霊の()()(うれ)()が、

今も紳士クンの周りをフヨフヨと泳ぎ回っているのだ。

しかも相変わらず紳士クンに怒っている様子で、

吊りあがった目つきで紳士クンの事を睨みつけている。

その姿も視線もハッキリと視える紳士クンは、

何とも居たたまれない気持ちになっていた。

 (ど、どうして愁衣さんはあんなに怒っているんだろう?

いや、その理由は何となくわかるんだけど、

あんなに怒る事もないんじゃないかなぁ。

そもそもああなったのは、愁衣さんが原因なんだし・・・・・・)

 と、思いはするが、それをこの場で愁衣に訴える事もできず、

紳士クンは白紙のノートを前に、ただモンモンとするしかなかった。

と、その時だった。

ノートの傍らに置かれた紳士クンのシャーペンが、突然ひとりでに浮き上がった。

 (えっ?)

 心の中で声を上げ、思わず目をこする紳士クン。

しかしそれは目の錯覚などではなく、確かにシャーペンが空中に浮いているのだった。

そして反射的に顔を上げると、空中を漂う愁衣が、

まるで人形を糸で操るように右手を動かし、

紳士クンのシャーペンを操っているのが目に入った。

 (そ、そういえば昨日も愁衣さんは、

華子さんのリュックから色々な物を手で触れずに取り出して、

自在に操っていたっけ・・・・・・・)

 その事を思い出した紳士クンは、

今もその力を使って目の前のシャーペンを操っているのだという事を理解した。

が、それを他の人に見られると大騒ぎになるので、

紳士クンは慌ててそのシャーペンを右手で掴んだ。

と、同時に愁衣がスッと右手を動かすと、

紳士クンが掴んだシャーペンが勝手に動き出し、

紳士クンのノートに何かを書き出した。

それは、このような内容のものだった。

 『変態変態変態変態変態変態変態変態

変態変態変態変態変態変態変態変態変態

変態変態変態変態変態変態変態変態変態

変態変態変態変態変態変態変態変態変態

変態変態変態変態変態変態変態変態変態

変態変態変態変態変態変態変態変態変態

変態変態変態変態変態変態変態変態変態

変態変態変態変態変態変態変態変態(以下同文)』

 これが紳士クンのノートの見開き二ページ分をビッシリ埋め尽くした。

 (ほ、ほゎあああああっ⁉)



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