7 変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態(以下同文)
その後の午後の授業。
この時間は数学だったが、紳士クンは教壇に立つ先生の話が一向に耳に入ってこず、
全く授業に集中できないでいた。
それもそのはず。
昼休みに紳士クンの周りを泳ぎ回っていた浮遊霊の布由愁衣が、
今も紳士クンの周りをフヨフヨと泳ぎ回っているのだ。
しかも相変わらず紳士クンに怒っている様子で、
吊りあがった目つきで紳士クンの事を睨みつけている。
その姿も視線もハッキリと視える紳士クンは、
何とも居たたまれない気持ちになっていた。
(ど、どうして愁衣さんはあんなに怒っているんだろう?
いや、その理由は何となくわかるんだけど、
あんなに怒る事もないんじゃないかなぁ。
そもそもああなったのは、愁衣さんが原因なんだし・・・・・・)
と、思いはするが、それをこの場で愁衣に訴える事もできず、
紳士クンは白紙のノートを前に、ただモンモンとするしかなかった。
と、その時だった。
ノートの傍らに置かれた紳士クンのシャーペンが、突然ひとりでに浮き上がった。
(えっ?)
心の中で声を上げ、思わず目をこする紳士クン。
しかしそれは目の錯覚などではなく、確かにシャーペンが空中に浮いているのだった。
そして反射的に顔を上げると、空中を漂う愁衣が、
まるで人形を糸で操るように右手を動かし、
紳士クンのシャーペンを操っているのが目に入った。
(そ、そういえば昨日も愁衣さんは、
華子さんのリュックから色々な物を手で触れずに取り出して、
自在に操っていたっけ・・・・・・・)
その事を思い出した紳士クンは、
今もその力を使って目の前のシャーペンを操っているのだという事を理解した。
が、それを他の人に見られると大騒ぎになるので、
紳士クンは慌ててそのシャーペンを右手で掴んだ。
と、同時に愁衣がスッと右手を動かすと、
紳士クンが掴んだシャーペンが勝手に動き出し、
紳士クンのノートに何かを書き出した。
それは、このような内容のものだった。
『変態変態変態変態変態変態変態変態
変態変態変態変態変態変態変態変態変態
変態変態変態変態変態変態変態変態変態
変態変態変態変態変態変態変態変態変態
変態変態変態変態変態変態変態変態変態
変態変態変態変態変態変態変態変態変態
変態変態変態変態変態変態変態変態変態
変態変態変態変態変態変態変態変態(以下同文)』
これが紳士クンのノートの見開き二ページ分をビッシリ埋め尽くした。
(ほ、ほゎあああああっ⁉)




