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4 ヘンタイの烙印
そのショックで愁衣はたちまち退散したのだが、
今日また紳士クンの前に現れ、こうして紳士クンを遠目から眺めている。
その警戒心丸出しの表情からして、昨日の事がかなりショックで、
怒ってすら居る事は、紳士クンの目にもハッキリと分かった。
愁衣が勝手にやった事とはいえ、穢れを知らない乙女に、
男の穢れまくったアレを触らせてしまったのだ。
しかも同時に二人の乙女にである。
その事を思うと、紳士クンの良心がズキズキと痛むと同時に、
何やらえも言われぬモヤモヤした感情が湧き出してくるのだった。
その愁衣は、吊りあがった目つきで紳士クンを睨み、
口パク(霊の状態の愁衣は、声を出す事が出来ないようだ)で、
しかしハッキリとこう言った。
ヘ・ン・タ・イ!
(うぐぅっ⁉)
その言葉の矢が、紳士クンの胸の奥に深く突き刺さる。
それは自分でも重々承知しているだけに、改めて他人から、
ましてや自分のアレを触らせてしまった相手から言われると、
そのダメージはその場にくじけてしまいそうな程に大きなものとなった。




