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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅳ  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンと、撫子の恋
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15 言葉の矢が刺さりまくる

一方の撫子はそんな紳士クンの様子には全く気付く事なく、

小さく頷いて言葉を続ける。

 「そう、なの。

今日、帰ろうと思って学園の玄関に行ったら、

私の靴箱の中に、封筒が入っていたのよ」

 「へ、へぇ~、そう、なの。ちなみに、どんな事が書いてあったの?」

 繰り返しになるが、その内容は紳士クン自身が誰よりも知っているし、

できる事ならもう二度とそれを見たくも聞きたくもなかったが、

それを聞かない訳にはいかない紳士クンは、

ゲテモノ料理を口に放り込むような気持ちで尋ねた。

それに対して撫子は、いかにも言いにくそうに、

しかし、どこか浮ついたような口調で、言った。

 「とても、キザで、恥ずかしい、事よ。

私の事を、自分の心に咲く大輪の花だとか・・・・・・」

 (うぐぅっ!)

紳士クンの心に、言葉の矢が刺さった。

 「自分の暗い心を照らす、まばゆい光だとか・・・・・・」

 (ぐはぁっ!)

もう一本刺さった。

 「私はあまりに美しく・・・・・・」

 (はがぁっ!)

まだまだ刺さります。

 「私はあまりに清らかとも書いてあったわ」

 (んぎゃぁっ!)

グサグサグサッ!

 もはや紳士クンの心は、

撫子の言葉の矢が刺さり過ぎてウニのようになっていた。

そんな紳士クンの心の状態など露も知らない撫子は、

最後のとどめを刺すつもりは全くないのだが、こう言った。

 「本当に、キザで恥ずかしい手紙でしょう?

こんな恥ずかしい手紙、よく書けたものだと思うわ」

 (ふぐぅっ!)

ドスゥッ!

最後に太い大きな矢で心を貫かれた紳士クンは、

白目をむいてその場につんのめりそうになった。



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