14 いかにも今初めて知りましたという感じで
「あの、ね・・・・・・」
「うん」
「私今日、手紙を、もらったの・・・・・・」
「そう、なんだ。誰から、もらったの?」
もちろんその手紙の差出人は紳士クン自身なのだが、
その事はぜっっっっっっっったいに撫子に知られる訳にはいかないので、
紳士クンは精一杯声が上ずらないように注意しながら問いかけた。
それに対し、撫子は更に声を小さくしながらこう返す。
「誰かは、分からないの。名前が書いてなかったから。
ただ、ウチの学園の、男子部の一年生っていう事だけ、書いてあったわ」
「へぇ、そう、なんだ・・・・・・
それで、一体どんな内容の、手紙だったの?」
手紙を書いたのは自分自身だし、
できる事ならその内容は死ぬまで記憶のかなたにしまっておきたかった紳士クンだが、
この状況でそれを尋ねない訳にはいかないので、
紳士クンは何とか声が震えないように尋ねた。
すると撫子は、さらに顔をうつむけながら呟いた。
「ラ、ラブ・・・・・・レター・・・・・・よ」
とぎれとぎれではあるものの、撫子がラブレターと言った事は明らかだった。
しかし紳士クンは、
『うん、知ってるよ?だってそれ、僕が書いたんだもん♪テヘ♡』
とぶっちゃける訳にもいかず、
いかにも今初めて知りましたという感じが出せるよう、
精一杯驚いた調子で声を上げた。
「え、えぇっ⁉ラブレター⁉
お姉ちゃん、一年の男子から、ラブレターをもらったの⁉」
この時、部屋が暗くて表情が見えないのは紳士クンにとって幸いだった。
声の調子こそ何とかそれらしく驚いた様子が演出できたものの、
表情は引きつりまくりの目が泳ぎまくりで、
誰が見ても動揺している事がバレバレだったからだ。




