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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅳ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンとつきまとう乙女
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1 昨晩の活動報告

 「あれは!絶対に幽霊の仕業(しわざ)です!」

 その日の昼休み。

私立エシオニア学園の屋上で、()入野(いれの)華子(はなこ)は、

お弁当のタコさんウインナーが刺さったフォークを力の限り握りしめ、

目の前で焼きそばパンを頬張る樫増笑(かしましえ)()に声を荒げた。

 紳士クンと華子は昨日の夜、教会に出ると言う幽霊を見る為に教会へ忍び込み、

そこで幽霊を呼び出す為の儀式を行った。

その際に華子は突然気絶し、その間の記憶が全くないのだが、

それは自分が幽霊に取りつかれていた為だと考え、

その事を声高らかに笑美に宣言したのだ。

それに対して笑美は、

口の中の焼きそばパンを一通りよく噛んでからゴックンと飲みこんで、

食べかけの焼きそばパンを華子に差し向けながら言った。

 「そんな訳ないやろ。

どうせあんたが変な儀式で気持ちが高ぶり過ぎて、勝手に失神しただけや。

それが幽霊の仕業やなんてよう言えるなぁ」

 それを聞いた華子はタコさんウインナーをパクッと口に放り込み、

次はミートボールを突き刺してそれを笑美の方に向けてこう叫ぶ。

 「あれはぜっっっっっっったいに幽霊の仕業なんです!

私が気を失う寸前に、背後に冷たい気配がして、

背中から何かが入りこんで来るような感覚に襲われたんです!

あれは間違いなく幽霊が私にとりついた瞬間だったんです!

その瞬間を、乙子(おとこ)さん

(紳士クンは学園では、『乙子』という女子生徒として過ごしている)

も見ていましたから!」

 そう言って、

傍らでお弁当のグリンピースをお箸でついばんでいた紳士クンを見やる華子。

その紳士クンはいかにも気まずそうな笑顔を浮かべ、

 「う、うん、確かにあの時、

華子さんは突然気を失って倒れちゃったから、僕もびっくりしたよ」

 と言い、視線を宙へ泳がせる。



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