11 これが現実
その撫子は右手に持ったエシオニア学園の女子の制服(、、、、、)を紳士クンに差し出し、
いつもの口調でこう言った。
「いつまで寝てんの⁉さっさと着替えて支度しないと、学校に遅れるわよ!」
その現実を目の前にして、紳士クンは思わずこう呟かずにはいられなかった。
「あぁ、僕ってやっぱり、女の子として学校に通っているんだね・・・・・・」
それに対して撫子が、間髪入れずにこう返す。
「は⁉当たり前じゃないの!今更何言ってるの⁉
あんたは今、完璧に女の子として、エシオニア学園の女子部に通っているのよ!」
「そう、だよね・・・・・・」
そう言って紳士クンが両手で顔をおおうと、撫子が首をかしげながら言った。
「あんた、寝てる時やけにニヤついた顔をしてたけど、
そんなにいい夢を見ていたの?」
その言葉に、紳士クンは両手で顔を覆ったまま答える。
「うん、夢の中のお姉ちゃんは、とても優しくて、女性らしかったよ」
その言葉に一瞬で怒りのメーターが限界を振り切った撫子は、
「ぬぁあんですってぇえっ⁉
普段の私は優しくない上に女性らしくないって言うの⁉」
と叫び、紳士クンの額に穴が開きそうな程に強烈なデコピンをお見舞いし、
パンをこねるパン職人のごとく、
紳士クンのやわらかなほっぺをグニーンと引っ張った。
「い、いひゃいよお姉ひゃんっ」
パン生地のようにホッペを引っ張られながら、あわれな声を上げる紳士クン。
こうして紳士クンの不本意な日々が、今日も平和に(?)幕を開けるのだった。




