こ■ま■■登■■物■と■10
「直接的介入に踏み切ってしまったため、記述には客観性を欠くこととなるでしょう。
……いえもちろん、今までの記述とて、完全な客観視はできていませんが。
しかし今回に関して、私は当事者になってしまったわけです。
ならばここは保留とするのが最も賢い選択と言えましょう、そう思いませんか?」
なら、私が書いてあげるわよ♪
●マリアンヌ・ピースラウンド
馬鹿な女。
可能性に縋りつき、可能性の無慈悲さを知らないまま、すり潰されていく女。
いつまでもこんな女が輝いてる世界なんて、無秩序で吐き気がする。
でもそういう世界の方が、きっと魅力的なのよね。
本当に人間って難しいわ……彼女みたいな子を生み出せる気はしないし、しばらくは頑張ってもらった方がいいのかもしれないわね。
この子のことはすっごく嫌いだけど、でも、ウルスラグナの連中よりはだいぶんマシだもの♪
っていうかウルスラグナ、私の神託をどう解釈したらこんな愚か極まりない蛮行をできるわけ?
私の伝え方って、そんなに問題あったかしら?
うん……うん、やっぱ生命を殺せとかそんなこと言ってないわ。
あーもう、絶対あのロクデナシのせいじゃない!
あいつ今何してるわけ? これ見て、せせら笑ってるのかしら。
自信なくしちゃうわよまったく。
ま、ともかく。
もうしばらくは頑張ってもらうわよ、流星零剰さん♪
●ロイ・ミリオンアーク
自分で定めた終着点に自分で突っ込んでいった、バカな舞台装置くん。
君って基本的に何もできない人間なわけで、今回もギリギリ時間稼ぎをして終わったけど、何か解決したわけじゃないのよね。
分不相応な願いを持つのって、人間の根底に存在するエラーなんだけど、その最も悪い例が彼なのよね。
割り当てた権能だって『軍神』なんていう地味な殺戮用だけだったのに……勝手に『天空』をかすめ取って。それマリアンヌ・ピースラウンドのものだったのよ?
まあ、あの子が自分で『開闢』の瞬間使用の代償に権利を捨てちゃったんだけど。
今となっては、エテメンアンキへの道をふさぐための楔でしかない。
君のやったことはもうすぐ無為になる。
……って、本当なら冷たく言いたいんだけどねえ。
ぶっちゃけ私、君のこと、ちょっと気に入ってるわよ。
そういう無駄な頑張りを、気合と根性で無駄じゃなくするのが、人間の美しいところだもの。
だから輝けるのなら、もう一度輝いてごらんなさい。
ポップコーンはキャラメル味を用意しておくわ。
あとね。
君の言う生命の輝きってやつ、一つだけ付け加えたいの。
それは決して、消える間際にこそ最も輝くものなんかじゃないはずよ。
輝きたいと願った時にこそ、生命は最も光を放つ。
君が輝きたいのは、本当にあの瞬間だったのかしら。
その答えは私にすらわからない。君が出すしかない。
だから、人間は面白いのよね♪
●ユイ・タガハラ
現状最高傑作は君ね。
正直、今回の騒動からは離れたままでいてほしいわ。
君の力に余計な傷が入るなんて、あってはならないもの。
でもきっと、君は戻って来るでしょう。
私は君の疾走を見届けるしかない。
目指す先があの忌まわしい流星っていうのは気に入らないけどね♡
……ねえ、あの流星女は、いつか君を裏切るって分かってるでしょう?
だって君は理解してるもの。
君の最大の願いを、彼女は最後に破り捨てるって。
あの女は君を見ているようで見ていないって。
なのに走るなんて、さっきの婚約者くんに負けず劣らずお馬鹿さんね。
●ジークフリート
ねぇ『不屈』をありえない運用するのやめてくれない!?
あれ本当に何!? 別物なんだけど!?
っていうか目覚めてから一回たりとも正しい使い方してないじゃない!
なんで独自のやり方で、純粋なやり方より高出力になってるわけ!?
本当に頭おかしいわよ。どうかしてる。
……もうあなたを味方としてカウントできないもの。勘弁してよね。
ただし。
戻って来るなら、いつでも許してあげるわ。
結果としてあなた、本当に、本当の本当に最強クラスだもの。
私みたいなランクの存在が出張る戦場でも活躍できるもの。
ねえ、今すぐ、マリアンヌ・ピースラウンドのことを忘れてみない?
そしたらあなたを切り札として愛してあげるわ。
この世界にとってのカミサマみたいになれちゃうわよ。
……なんてね。
聞くわけ、ないわね。
はぁ、マリアンヌ死なないかしら。
●ユートミラなんちゃら
ユートくんで覚えてるからフルネーム分かんないのよね。
禁呪なんていうゴミクズに手を出してる割にはいい線いってるわよ君。
正直、あのマリアンヌを除けば、今回の禁呪保有者の中で最も注意するべきなのは君だと思ってるわ。カサンドラだのアーサーだのじゃなくって、君よ。
だって君は禁呪保有者の枠の中から、禁呪の根っこの中の根っこまでを見ようとしているもの。
枠の中で技を磨くアーサーやカサンドラ、枠からどっか行っちゃったマリアンヌは、それはそれで厄介なんだけど……でもこいつらは、最後の決戦場に大きな影響を与えられない。
君よ。
君の動き方次第で、こっちも色々と変えなきゃいけないの。
だから本音言うわね。
君さ、この戦いで死んでよ。
そういうふうにしておくわね♡
●リンディ・ハートセチュア
いい加減、返事しなさい。
いつまでも先延ばしにできるわけがないでしょう。
ロクデナシの家系に生まれたとはいえ、こんなに論理的に考えられない子だとは思わなかったわ。
本当に残念……まあ、これもマリアンヌの影響なのかしら。
ま、自殺してないだけ偉いわ。
自殺する勇気もないんでしょうけど。
一度スイッチが入れば、踊り狂って死ぬ。
世界を巻き添えにして死ぬ。
愛するもの全部ひき潰して死ぬ。
それが君の末路よ。
世界最大最強最高の、機械仕掛けのカミサマちゃん♪
●ナイトエデン・ウルスラグナ
死んだわねー。
でもリンク、完全に途切れたわけじゃないのよね。
はぁ……ウルスラグナがバカばっかりなのは本当に嫌いだけど。
でも君みたいなのが出てきたのは、唯一の救いね。
ねえ、覚えているかしら。
私は君にこう言ったわ。
君は選ばれた者だって。この光は君にしか使えないって。
あれぜーんぶウソ♪
光は決して、君だけのものじゃないわ。
ウソついた私が言うのもなんだけど、それをうのみにして思い上がった結果がこの敗死よ。
それだけは忘れないようにしなさいな。
そしたら、もしも次会えたら……その時は、本当に君にしか使えない光をあげる。
なんて、もちろんこれもウソよ♡
●先代ナイトエデン・ウルスラグナ/現グレイテスト・ワン
たかだか幼馴染を一人喪ったぐらいで世界の真理にまで到達してみせた愚か者。
そのガッツだけは認めてあげる。
でも残念、あの厄介者……佐藤がマリアンヌを解き放ってしまったわ。
きっとあなたの望まない、もう一度の決戦がこの後に控えてる。
そこでも、あなた自身の答えを貫けるかどうか……面白い見世物になりそうね。
あとさあ。
愉快犯って何よ。
まさか――そんなに正確に私のことを分析できてるなんて思わなかったわよ!
意外とやるじゃない♪
●ルシファー
ウルスラグナが見落としてるのは、もう今の状態で、マリアンヌ・ピースラウンドの精神が復旧次第こいつが出てきて人類皆殺しにしちゃうってところなんだけど。
まあでも、精神が復旧した瞬間って、つまりあの子が元に戻ってるわけ。
なら心配しなくていいのかもしれないわね。
こいつあの子の言うことめっちゃ聞くし。
あと、私の方をガン見しながら殺す殺す殺すうるさいわよ。
今回の件は私関係ないから。本当に。
っていうかさあ……見るたびに強くなってるんだけど。
こいつって単一の世界なのは変わらない、のよね?
なんかもう普通の世界数十個分の質量になっちゃってるわよ。
どうすんの? 私これに勝てるかしら?
ま、やるしかないのよねえ。
一応勝つ手段はまだまだあるし。
ポーズだけでも余裕ぶっておきましょうか。
流石に、今の彼には勝算しかないわけですしぃ。
――次会う時は、世界をかけた決戦場で一緒に踊りましょうね、大悪魔さん♪
※追記
……なんか読み返すとムカついてきたわ。
私が負けるわけなくない? 勝つけど? 負けたことないし。
は? なんか過去の私にムカついてきた。
勝つわよ、勝ちます、絶対に勝つわ!!
私、最強なんだもん!!
この私こそが世界の輝きそのものにして、宇宙の中心にして、大地と大空をつなぎ人々の懸け橋となる『聖なる光』そのものよ!
次会う時までに首から頭のてっぺんまで洗って、さらさらヘアーになっておきなさい!
●佐藤
だから逆シャアは面白いって言ってんでしょうが!!!
「……これ私が書いた方がマシでしたね。そう思いませんか?」




