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INTERMISSION12 婚約者とはいえど

 夜が明け、朝がやって来た。別に誰かが無惨な姿で見つかったりはしていない。

 わたくしは割り当てられた部屋のベッドからのそのそと出ると、置かれていた水差しから冷えた水を一杯呷る。


「ふーっ……」


 確か今日の昼に、上位存在に関して具体的な説明をする……と言われていた気がする。

 相手を知らずに対策は立てられない。今までのケースは不幸にも出たとこ勝負ばかりだったが、あらかじめ敵のデータを知れるならそれに越したことはないのだ。

 ささっと寝間着から活動用の衣服に着替え終わると、見計らったかのようにドアがノックされた。


「マリアンヌ、起きてるかい?」

「レディの朝に押しかけるなんて、婚約者とはいえ度し難いですわよ」

「君の顔を見たくて待ちきれなかったんだよ」


 フン。キザったらしいこと言いやがって。

 わたくしはドアに歩み寄って少し開くと、万全の準備を済ませているロイの顔を見上げた。

 澄ました表情でその碧眼にわたくしを映し込んでいる。気に入らねえな。


「でもアナタ、ノックのタイミングからして、微弱な電磁波とか飛ばして部屋の中でわたくしが着替え終わるの待っていたでしょう」

「………………」


 分かりやすいぐらいロイはそっぽを向いた。

 お前さあ……



〇日本代表 えっ電磁波レーダーってもう取得してたっけ

〇火星 ない! 何で持ってんの? マジ無理

〇苦行むり まーたフライングゲットしてる



 えっこれ何かの特殊スキルなのか?


「アナタちなみにそれ、いつ頃からできるように……?」

「でっ、できるってワケじゃないんだよ! 僕も制御あんまりできてないというか……電磁波っていうのかいこれ、周囲の状況が勝手に頭に飛び込んでくる瞬間があるというかさ……」


 マジで上級スキルが暴発してる感じじゃん。

 コワ~……とロイの顔を見上げる。


「あ……でもそれ制御できるようになったら教えてください」

「え?」

「電流流して部分痩せとかできそうじゃありませんか。どうせなら楽して体型維持したいですわ」

「それ以上スタイルを良くして何のつもりだい……!?」


 話聞いてたか? 維持っつってんだろ維持。

 男は即座にスタイルを良くするかどうかの話につなげるけど一番大変なのは現状維持なんだよ。無理して腹回り絞ったりするだけなら誰だってできる、それを定着させられるかどうかがデカいんだよ。

 ……いやまあ、考えてみれば前世のわたくしもこの辺は分かってはいなかったけども……!


「とにかく何の用でしょうか」

「ん、あ、ああ。僕らはちょっと前に起きたんだけど、ユートが偵察も兼ねて町に出て行っちゃってね」

「へえ。抜け駆けしに来たということですか」

「え? 起きてるかなって様子見に来ただけだけど……」


 え?

 ロイが困惑した様子でこちらを見ている。

 おいおいおい。


「なんかわたくしが一方的に意識してたみたいになってるじゃないですか。そういうのやめてくださいます?」

「…………顔真っ赤だけど?」


 うぐうううううう王子様モード入りやがった!

 フッと笑みを浮かべて、彼はわたくしの頬に手を添えた。

 この野郎!

 わたくしはバッとのけぞりドアを思いっきり閉める。置き去りにされたロイの手が木製のドアと壁の間に挟まれ嫌な音を上げた。


「い゛っっっっっ」

「許可なく乙女の肌に触るからですわ! グーを飛ばさなかっただけ温情だと思いなさい!」


 ドアを開け放ち、痛みに蹲るロイの前で仁王立ちになる。

 やつは肩を震わせ、息を荒げていた。


「くぅっ……! 久々に、マリアンヌから痛みを与えられたけど……! やっぱり"効く"なぁっ……!」

「ハーブか何かやっておられる?」


 よく見たら顔を伏せてハァハァしてるだけだった。

 この婚約者怖い……



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 暴発…天空の影響かな? [一言] 時々王子様モードできるよなこいつ、二重人格か?
[良い点] 流星キメてるマリアンヌより、仮にロイがおハーブキメてるって方が何故かマシに思えますわね。 [一言] 照れてるマリアンヌのスチルはロイの脳内SSDに永久保存されてるんだろうなぁ……。
[良い点] 普段流星をキメてる令嬢が何か言ってておハーブが生えますわ
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