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PART49 天魔執行リベリオンアーマー☆

 召喚したルシファーの端末を即座に殴り倒して。

 わたくしは彼に馬乗りになって、その瞳がまだ赤色なのを確認した。

 傍から見たら瞳孔で生死を確認しているみたいに見えただろう。


「な、馬鹿な……我は大悪魔ルシファーの端末、何故……!?」

「うっさいですわ! とっとと本体の意識を下ろしなさい!」

「うお────いや、待て。降りてきたから落ち着けマリアンヌ」


 端末の首元を掴んでガクガク揺さぶっていると、瞳が深紅から黄金に書き換わった。

 大悪魔ルシファー召喚完了! ヨシ!


「あ、の、マリアンヌさん。もしかして、またルシファーさんの力で全部一旦なかったことに……?」

「いいえ、まさか!」


 心配そうなユイさんの問いに、首を横に振る。

 砂を払いながら立ち上がったルシファーに対して、わたくしは腕を組んで真っ向から向き合った。


「アナタ言いましたわね! 世界の破滅は約束されたと! アナタが滅ぼすと!」

「ああ。その言葉に嘘偽りはない。おれの手によって、この世界は破滅する。そして神々の時代は終焉を迎える」

「御託は結構! ならば答えなさい──今まさに起きようとしている破滅を! アナタは許容するのですか!」


 数秒の沈黙。

 あの大悪魔が、ラスボスが、ぽかんと口を開けて呆然としていた。


「……マリアンヌ、お前はまさか……おれを、一時的に味方にしようとしているのか?」

「悔しいですが、その通りです! 今この瞬間では、アナタが必要です!」


 断言した。周囲の空気が面白いぐらい変わる。みんな絶句、狼狽していた。

 まあそりゃそうかもな。こいつラスボスだもんな。

 だけど!


「さあ答えなさい、地獄を統べる大悪魔、世界に終末を齎す者! あの気に入らない上位者気取りを許すのですか、アナタともあろう方が! 外から勝手に押し入ってきた訳の分からないやつに好き勝手させるのですか!?」

「────安易な挑発だな。そして痛いところを突いてもいる。しかしおれの助力を乞うには不足しているぞ?」

「ならばこう言い換えましょうか?」


 腕を組んで、顔だけはいい大悪魔を睨めつけて。



「世界を守れもしないやつに世界が滅ぼせるものですか! わたくしに相応しい存在だというのなら、数度世界を守ることにぐらい、力を貸しなさいッ!!」



 今度こそ、場の空気が死んだ。

 いや理論的には正しいだろ? え?


「……いやまあ。そうだね」

「えっ、ミリオンアーク?」


 いち早く再起動したロイに、リンディが困惑の声を上げる。

 フン、流石は婚約者。わたくしの意図を汲み取ってくれたようだ。


「世界を守れるぐらい強くなきゃ、マリアンヌには相応しくないだろうね。一方僕は婚約者なのでそのあたりのハードルを越えている。つまりあの大悪魔は僕以下だ」


 意図を……まあ、汲み取ってくれたのかな。うん、多分そうだろう。

 さて、どうなるかなとルシファーの反応を伺う。


「フッ……それは殺し文句というものだろう、マリアンヌ」


 良かった。

 どうやら、うまくいったようだ。

 しかしそこから、ルシファーは混沌に顔を向けて難しい表情になる。


「だが、あれは正真正銘の神だ。世界を外側から見つめる者。いや、厳密にはその力を限界まで引き出した状態のようだが……それでも、本来のおれたちとは格の違う存在だ」

「はい」

「それでもやるのか?」


 え?

 こいつ何言ってんだ?


「その、勝てるかどうかのお話でしょうか」

「おれの力を貸したところで、可能性は限られているぞ」

「すみません、負けるつもりがなさ過ぎてよく分かりません」


 わたくしの言葉に。

 大悪魔ルシファーが、ぽかんと口を開けたまま、言葉を失った。

 当たり前だろ。ここで勝てなきゃ終わりって場面で、なんで負けること考えるんだよ。勝率を限界まで上げる工夫をしてるところで敗北を予見してどうすんだ。


「…………フッ、フハ」

「?」

「……ハ、ハハハ────ハハハハハハハハッ!!」


 何わろてんねん。


「マリアンヌ。お前は本当に美しいな。言葉を失うほどに美しい……」

「今更ですわ」

「いいだろう。世界を滅ぼすための我が力。今はお前の願いを叶えるために振るおう!」


 わたくしとルシファーが。

 高台にて、戦場を見据えて並び立つ。


「アナタが地獄を統べる大悪魔というのなら! 世界をゼロに還す力を持つというのなら! そのすべてを寄越しなさい!!」


 頭の中で詠唱を再構築しながら叫ぶ。

 同時、ルシファーも端末の翼を広げて、隣で声を上げた。


「流星の申し子よ、紅い瞳の美しい少女よ。いいだろう! 許す、特別に許そう! おれの力を使うが良い!」



 はい言質取った。



「OK! ならば──その身体をいただきますわ!」

「は??」



 わたくしは、隣に並んだルシファーの端末に向き直り。

 思いっきり首を右手で掴んだ。


「えっ、は? お前、え、何?」


 ぐうおおおおおお……端末とは言え、流石は作中最強格の上位存在……!

 だが、大丈夫。さっきはノリと勢いで禍浪を上書きしたけど。

 ちゃんとやろうと思えば、これぐらいやれる。

 何せ正式な所有者に所持を許されたからな!




 ────星を纏い(rain fall)天を堕とし(sky down)地の果てまで届け(glory glow)




 魔法陣が展開される。足下から鮮血の如き赤い光が線となり、伸びていく。

 戦場の端から端まであっという間に駆け抜け、直線から曲線を広げ、大きな円を、そしてその中に幾何学的に図形や文字を配置していく。

 広がりきって、広げに広げて、それを刹那に収縮。わたくしとルシファーのいる地点だけに圧縮した。




 ────羽撃け(flying)暴け(exposing)照らせ(shining)光来せよ(coming)




 首を掴んでいる手を起点として、一気にルシファーの端末を分解した。

 光の粒子となって弾け飛び、それらが順次、わたくしの身体を覆っていく。




 ────正義(justice)鮮血(blood)執行(execution)聖母(Panagia)




 鎧のようにして着装されようとするそれら。

 いや勘弁しろ。ハイスピード学園バトルラブコメみたいになるだろうが。

 そうじゃねえ。もっとこう……強くてカッコいい……リリカルでマジカルな感じになるんだよ!




 ────悪の砕け(sin break)る音と(down)開かれた空を(judgement)祝福しなさい(goes down)




 光の粒子が明瞭に形を結ぶ。

 ワインレッドを基調とした制服を瞬時に分解・再構成し、新たなる衣装を描き出す。

 それは黒のラインがあちこちに走った、白いロングコート。ともすれば聖職者に近い、清潔で神秘に満ちた服装。




 ────アナタを討ち滅ぼす(vengeance)極光は、ここにある(is mine)




 背中から三対六枚の、漆黒の翼が花開き。

 最後に、目の下に血涙が如き深紅のラインを走らせ。



完全解号(ホールドオープン)──虚弓軍勢(マグナライズ)流星(メテオ)、ツッパリフォーム」



 全シークエンス終了。

 あちこちから過剰魔力が深紅の光となって噴射される。

 ふわりと、自然に脚が地面から浮いた。跳躍ではない飛翔。正真正銘の飛行能力。



feat.フィィイイチャリングゥッ!! ルシファァアアアアアアッ!!」



 ぐぐぐ、と握った右の拳を掲げる。それだけの動作で拳から紫電が散る。

 全身を凄まじい力が循環していた。今までにない感覚。

 何でもできる。誰が相手だって、戦えるという確信!


 だったら呼び名はこれしかねえ!



「またの名を────」



 右の拳を開きながら水平に真横へ伸ばし。

 わたくしは混沌(カオス)を真正面に睨み、空中でサイコーに見得を切る!








「────悪役魔法少女令嬢まりあんぬ★メテオォッ!! ですわッ!!」








「なんて??」「なんて??」「なんて??」

「なんて??」「なんて??」「なんて??」

「なんて??」「なんて??」「なんて??」

「なんて??」「なんて??」「なんて??」



〇宇宙の起源 なんて??

〇鷲アンチ なんて??

〇無敵 なんて??

〇適切な蟻地獄 なんて??

〇red moon なんて??

〇外から来ました なんて??

〇火星 なんて??

〇日本代表 なんて??



 戦場全域に響き渡った声に。

 皆がレスポンスを返してくれた。応援ありがとう!


「でりゃあああああああああああああッ!!」


 飛翔したまま一気に加速。

 音の壁を簡単に越えて、コンマ数秒で混沌まで到達。


『は?』

「チェストォォ────!!」


 渾身の右ストレートが入った。

 バァン! という破砕音が遅れて響く。混沌の上半身がぐらりと傾いた。

 ダメージ入ってる! 当たり判定もある! OK、戦える!


「その男を倒すのは、このわたくしですわッ!」

「………………」


 見得を切ってお父様を見た。

 彼はぽろりと魔剣を取り落として、絶句していた。

 フフン。そういう顔を見るのは初めてだな。


 と、その時だ。


【気をつけろ。これはあくまで、端末を介するからこそ成立する直接的な力添えだ。器が限界を迎えたとき、終わりを迎えるぞ】


 どこからともなく、いやわたくしの身に纏う衣装、胸元に付けられたブローチから声がした。

 これは……ルシファーか! 顔がいいだけとか言ってたけど声もいいなこいつ。


「リミットはあと何秒ですか?」

【92秒だ】

「フッ、上等! 8回は殺せますわ!」


 改めて混沌を見据える。


『な、ん、だ……なんだ、おまえ、いや……何!? え!?』


 混沌が混乱していた。


「勝負を決めに来ましたわ!」

【その通りだ。些か過程に問題はあれど、良い! 結果オーライだ! 流石に二度目はごめんだが今回限りは許そう! これがおれとマリアンヌの共同作業ッ!!】


 ビシリと天を指さして。

 わたくしとルシファーは、声を揃えて叫ぶ。




「【世界を守るも滅ぼすも、わたくし(おれ)たちこそが至高ッ!! ド三流のぽっと出ラスボス面に、本当の悪役ってやつを教えてやりますわ(やろう)!! この拳でェッッ!!】」




 舞台に幕を引くのは、テメーが取るに足らないと断じたこのわたくしだッ!






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【誰かルールを】TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA CHAPTER3【守ってくれ】

『2,334,623 柱が視聴中』


【配信中です】


〇苦行むり   何何何何何何何

〇TSに一家言  待って待って待って待って

〇火星     本当に待てェ!

〇つっきー   ふぁ、ふぁ……うそ……一体化してる……え……

〇鷲アンチ   ゆ、ユニゾンしたァァァ!?

〇適切な蟻地獄 悪役魔法少女令嬢って何?少女で令嬢?確かに少女は令嬢か、なるほど

〇太郎     なるほどじゃねえ起きろ!

〇red moon    魔法少女……魔法少女……?

〇第三の性別  魔法少女は開幕で右ストレートは打たんのよ

〇みろっく   ルシファーって合体能力合ったんだ

〇つっきー   ねーーーーーーーーーよ!!!!!ていうかこれ禍浪上書きしたときの応用なのか!?

〇無敵     一を聞いて虚数を知る女、何?

〇日本代表   すみません、もうこの仕事辞めます

────────────────────────────────



いただいておりますイラストを紹介します。


碑文つかさ様よりいただきました。

悪役魔法少女令嬢まりあんぬ★メテオのイラストです。

挿絵(By みてみん)

ありがとうございます!

pixivの作品ページはこちらになっております。

https://www.pixiv.net/artworks/84280321



ぬくもり様よりいただきました。

同じく、悪役魔法少女令嬢まりあんぬ★メテオのイラストです。

挿絵(By みてみん)

ありがとうございます!


奇しくも同じシーンに対して、静と動といった具合に異なるアプローチのイラストをいただきました。

作者冥利に尽きます。本当にありがとうございます……!




お読みくださりありがとうございます。

よろしければブックマーク等お願いします。

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― 新着の感想 ―
お前もメテオにな〜〜〜れ〜っ!
[良い点] 作者さん、最近の更新はお疲れ様です! マリアンヌさん達、面白くて、また格好いいです! 綺麗なイラストもありがとうございます! しかし、戦闘力のインフレが相当凄まじい!?流石に変化が速過ぎる…
[一言] 動くもの皆メテオなり どうやらぼくは真理に気付いてしまったらしい。 ノリと勢い次第で元気玉ならぬメテオ玉とかできそう。
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