PART36 不撓不屈ナイツプライド(後編)
【新規接続者を確認】
【主権者からの認可を待機……エラー。処理の不具合を確認】
【必要条件を確認。緊急性を確認。擬似認可を許諾】
【第三天との接続安定化を確認】
【迎撃権限を譲渡】
【適切な処置を行い、対象の未確認プログラムを排除せよ】
【そのために】
【────汝に不屈の加護を与えよう】
流石にあんな乙女ゲーパート入ったら頭冷えるわ。
あぶねえ。危うくまた闇落ちしそうになったが、なんとか耐えた。
まあ耐えたって言うかより強い衝撃で上書きされた感は否めないが……
……正直顔クッソ熱いしなんかもう心臓バックバクで死ぬ。死ぬわこんなん。ぐええええええええ落ち着け! おつつけっ、おちつてつけ!!
落ち着けッつってんだろ!
〇日本代表 ジークフリートさんのファン死んでそう
〇無敵 ………………
〇第三の性別 おっ生きてる音がするじゃーん
ジークフリートさんは数歩前に進み出た後、数秒顔を伏せていた。
いや、しかしだよ。
あんだけ言わせた後に、普通に戦闘参加していいもんなのかなあ。
でも流石にカサンドラさんとファフニールを同時に相手取るのは、ジークフリートさんとはいえ無理じゃん。
これどうすんの? あの超直球乙女ゲースチル回収の後にボコられる騎士は見たくねえんだけど……
〇無敵 やば、い
〇宇宙の起源 え?
〇無敵 そっち、ていうか、こっちで、数秒だったけど
〇日本代表 何? 待って聞きたくないやだもう言わなくていいマジでやめてくれ
〇無敵 ジークフリートさん、が、俺の神域に直接アクセスしてきた……!
〇日本代表 ああああああああああああああああああああああもうやだああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!
は?
思わずジークフリートさんの背中をガン見したその刹那。
「出力リミッター解除。体内循環加護を最大値へ」
ジークフリートさんの全身から眩い加護の輝きが放出され始めた。
教会にて齎された加護を、全開に高めているのだ。
しかし────
「転輪せよ、悪逆の光──不屈の詩歌を響かせよう」
同時、真反対の輝きも眼を灼いた。
身体から溢れ出るは暗黒のヴェール。
噴出したそれが加護の光を食い破らんと猛り、蛇のようにのたうち回っている。
「……何、を。しているのです、か」
「ああ。教会からいただいた加護を最大限に高め、そして今、新たに得られた能力も最大限に出力を増し──合成させている」
「なんて???」
いや…………
なんて??
【オイなんですのこれェ!?
光と闇を合わせて最強にしようとしているのですが!?!?】
〇火星 これっ、これまさかアレか!?アレなのか!?
〇みろっく あ、あれって……?
〇火星 原作でジークフリートさんが到達する二つの最終フォーム! 敵としては加護を最大限に高めた『聖騎士』、個別ルートでは加護を捨てた『無念無想』!
〇みろっく えーと、つまり?
〇無敵 ……アルティメットとダグバでフュージョンしようとしてる
〇みろっく なにそれこわい
「オレが掴んだ未来は、誰から差し出されたものでもない」
完全に宇宙猫と化したわたくしの目の前で。
騎士が、その剣を構える。
カサンドラさんとファフニールが、ただその姿を見ただけで数歩後ずさった。
「何、よ、それ……!?」
『馬鹿な。ありえん、ありえないだろう貴様それは! それだけはありえないだろうにッ!!』
漆黒の鎧から吹き荒れる、爆発的な神威。
それは光が固形化したように、鎧の節々から鋭角に伸び、制御翼のようになっていた。
敵として相対すれば死を。
そして味方なら絶対的な安心感をもたらす存在。
あと多分原作を粉々に破壊する存在。
笑えるぐらいなんかもう何これ?
何?
この人何してんの?
「ただこの手で、自分の意思で掴み取った物だ。だからこそ、オレが名付けよう」
いやこっち一回振り向いてフッって微笑まれても困る。
まさかわたくしのせいなのか。君のおかげでとか言われても全力で拒否させて欲しいんだが。ファフニールドン引きしてんじゃん。
そんな、こっちの気持ちなどつゆ知らないまま。
「覚醒の時だ────光輪冠するは不屈の騎士ッ!!」
紅髪の騎士が。
降り注ぐ豪雨の中で、最終フォームへ到達した。
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