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それで、どこまでも続くわけです、ツノのある魚の群れが。
たまに足を挫いてびっこを引いている魚もいましてね、
なんだかこう、ぱくぱくと、ぱくぱくと、
物言いたげに泡を浮かべたりするんですよ。
こんなに空気は濃縮還元だっていうのにですよ。
でも明日は一日中カモを連れて歩かないといけないので、残念ながら青色信号です。緑色じゃないか、ていうのは言いっこなしですって。
だから一度読んでみるといいんです。僕は薦めますよ。
いい本屋を知ってる。
あまりよくはないけど、でもいいんじゃないかな。
きっとそこへ行くといいよ。
僕の自転車はいつのまにか月見の蕎麦を唄っていて、明日は雨だろうと心細げに言う。
そんなことはないのに。
そんなことはないのに。
けれどもなだめる言葉を知らないので、僅かばかりの釣銭をくれてやった。
もう少し行くとラクダにぶつかる気がする。
右へ行こうか、左へ行こうか、右斜め下寄りの左上がいいかな。
自転車には座席はないけど、ペダルがあれば十分だろう。
ハンドルも家に忘れてきたかもしれないが、タイヤがあるからむしろ必要ないだろう。
どうも随分な遠出をしてきた気分がする。
目的の地はあったのだったか、あてどもなく這いまわっているのだったか、今となってはウヤムヤしたものになってしまったが、どこへも辿り着かないというのも、終わりがないみたいでいいものだと今は思っている。
右足にはパイナップルの缶詰を履いている。
左足には牛皮のなめした異国の民族の人形を十も履いている。
もう少しで昼が明けて夜が翳り嫁が降ってくる。それはそれは白無垢の、人のように重たい嫁が。
僕は高砂を鼻歌った。
急に寒気が襟に吹き込んで、僕はホッカイロの代わりに腹に貼った本をよく揉んだ。それからしわを伸ばしてきれいにしてから、またしっかり貼り直した。




