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後宮妃王国総記伝  作者: 由良 椿
2/5

嵐の前に

小説を書いたのが初めてというど素人っぷりなのに、ブクマとポイント?があってビックリしました。

ありがとうございます。(*'▽')

あんまり、このサイトの仕様自体わかってない感じですがとてもうれしかったです。

一つ心配なのが、あまりにも創作した言葉があるので混乱されないでしょうか。

のちのち説明がはいるシーンは入れようと思っております。


「せいよ?」

「は..?」

「せいよ…セイヨ…生与!?まことかっ!!」



官になれば自分どころか家族10代はくいっぱぐれがないと官を目指すものは多い。

苦労の末難関な試験を突破しても中にあるのは更に熾烈な競争であった。

書簡の整理に勤しむ秋季(しゅうき)は地元でこそ、秀才と持てはやされたが、権力闘争を生き抜く才はなく粛々と己の業務のみを全うしてた。


現上司の理伯(りはく)様と対立している黒舜(こくしゅん)様がお目見えされない限りは平和な一日が約束されているはずだった。


部屋の隅に文机を与えられせっせと作業をしていた秋季は荒れ始めた海のように増していく声の波に頭をあげた。

「せいよ…?」

愚鈍なこと。誠に遺憾ながら耳に入った言葉を処理できず、思わず首を傾けそうになるが

ここでそのような事をしてしまえば馬鹿にされるのは目に見えている。

本来秋季の名は秀季であったが、あまりに不似合いと言われ秋季と呼ばれている。

秋季自身も、この場で秀の字を冠する自信も実力も無いため以降大人しく秋季を名乗っていた。


先に波が頭に届いたのか。バタバタと衣を翻し次々と同僚が部屋を出ていく。


「せいよ、まさか..生与かっ!」


脳に届いた瞬間、書簡も投げ捨て同僚達の後を追う。



普段、女官と宦官(かんがん)以外が立ち入り禁止の後宮にぞろぞろと文官・武官入り交じり入っていくが不思議と咎めるものがいなかった。


王陛下の宮がある場所から遠く離れた水仙の離宮で年端もいかない少女に高官が伏礼をしていた。

その少女の足元には


「天鳥..。」


自分で呟いたのか、はたまたすぐ近くの奴が呟いたのか。

混乱する頭にはあまりにも天鳥の絶命は衝撃的だった。


「天鳥が死んでる。」

「本当なんだ。」


天鳥の絶命を目視した瞬間高官にならい伏礼するものもちらほら現れたが、

いまだ膝を折ることを躊躇しているものもいる。秋季もその一人だった。


なにせ、秋季が生まれてから王朝は変わらず、したがって登朝してからも天鳥の絶命どころか天鳥をよく見た事もなかった。


天鳥は、天より国一つに王一人、王一人に天鳥を一羽与えられると言われている。

下っ端文官が王宮の奥深く、深層の公主より手厚く保護されている鳥を見た事はなかったのだ。


王一人に与えられる天鳥が絶命した。

すなわち、天より王の交代が宣誓されたのだ。


秋季の肩に衝撃が走る。何やら酷く慌てた文官で、伏礼している高官の一人にかけよると

「凍棺陛下…..いえ、凍棺様のご存命確認できました。間違いなく生与であらせられます。」


側室とはいえ、数多くいる一人にすぎない寵愛もない少女に伏礼までしていたのに、その一報が信じられず目を丸くする高官にじわじわと目の前の事が頭に入ってきた。


生与、通常王の崩御と天鳥の絶命は同時である。

生与とは、現在の王が存命であるのに天鳥が次の王を選定し死ぬことだ。


己に与えられた天鳥が死んだ瞬間からもう王ではなく、一介の国民に過ぎない。

それほどまでに大きな意味がこの鳥の身には存在するのである。


「本当に、生与なのか?あの女が殺したんじゃ..」

「陛下に対し無礼であるぞ!」

「一理ある、誰か絶命を見たやつはいるのか。」

「水仙の離宮の女官が一名。すでに警備庁に身柄を抑えられているとか。」

「天鳥は殺せぬ。仙人の秘術をもってしてもじゃ。絶命はその鳥の主が王でなくなった時だけじゃよ。」

「そんな事、誰か殺そうとした前例があるわけでもあるまいしわからんではないか。

それに百歩譲ってその通りとしても、新王があの女である証拠はどこにもないのだぞ」

「ある。」

「理由を申されよ。」

「天鳥がなくなった際、その亡骸の灰を木のふもとに埋めればいずれ鳥が卵を産みに来る。その鳥がどの種類の鳥であっても、その一つは天鳥の卵である。卵がかえればわかる。天鳥は王にしか懐かない鳥だ。」

「王が崩御された時と手順は変わらずか..。問題は代理の副王を立てる必要性が皆無になったのと、天鳥が無事帰るまであの少女が王である事に納得するものがほとんどいないという事だけか。」

「期間は?」

「なんとも…。最悪1年越しは覚悟した方が賢明であろう。」


今だ混乱の渦にいるものを取り残して、時代の変化は今一刻と進んでいた。


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