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人は自分達が生態系で最上位だと信じすぎた  作者: 入江潤
参 会いたかったかもしれない
22/23

ある日、森のカフェで

ドンドン!!


扉を誰かが叩く音がする


ドンドン!!


扉は開かれる


「いかがなさいますか?」


私は机に伏せ、悩みこんだ。


「それは……恐縮なのですが……お聞きしても?」


「ええ、もちろん」


あたりは新品のランプに照らされぼうっと暖かい色をしている。


「失礼なのですが、それは正義ですか?」


彼は黙り込んだ。黙り込んで、そのあとこう答えた。


「はい。そのつもりですが」


「そうですか……私は確かに正義を注文しましたが、これは実に……」


それを眺め私は言う


「面白いことをいいますね。”ピザ”を注文したとして、出てきたのがモッツアレラピザだったから、あんたは苦情を言っている……」


「ああ、申し訳ない……しかしこれはトリックアートのようで、なんだか……」


私はそう言ったが、彼はどうにも腑に落ちないような表情をし、ついに返事をしなかった。


「わかりませんか? 提供しているあなたと、受け取る僕では、見え方が違うじゃないですか」


「はあ……私は同意できませんね。それだと正解の形があるじゃないですか」


彼の表情は変わらない。理解していないのではなく、納得していないのだ。


「私は、正義とは形ないものだと考えます。タバコの煙のように……」


「ほう……タバコの煙とどういう関係が?」


「私はタバコの煙が嫌いです。しかし、喫煙者にとっては魅力的な白煙でしょう」


私はコーヒーが冷めていることに気付き、カップに口をつけたのに飲まなかった。


「ああ、もうこんな時間だ。きっと、また来ますよ」


「お待ちしています」



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