ヴェラレルヴィッチの「故郷」
ココにきて数週間程経ち、気づいたことがある
ここはあの「故郷」にそっくりなのだ。
いつか、ヴェラレルヴィッチが記した「故郷」に
────故郷
そこは、遠く、近いところにあった
そこは、全類にとっての「故郷」であった
そこは、運命の木の下にあった
そこには、幻想的な草原が広がっていた
そこには、クィークィクルの大木があった
そこには、チョコレイトの川が流れていた
ぼくは、そこが好きだ
なんとも言えぬ「故郷」が
そこは僕を黙って包み込んでくれる
私の母体と言わぬばかりの優しさで
そこは、僕が好きだ
愛すべき、「全類」のことが
全類はそこを愛し、そこは全類を愛す
「故郷」にとっての故郷は「全類」である───
我ながら、こんな不思議な詩を読んでいることを恥ずかしく思う。
恥ずべきことでは無いのだが...
なぜか、少し恥ずかしい。
そこでひとつ引っかかるのが「クィークィクルの大木」だ。
それについて1週間ほど調べたのだが、一つだけそれらしい大木が見つかった。
幹は黄色で、葉は紫。なんとも不思議な大木だった。
そしてその近くには泥水の川が流れていた。
僕はそれがてっきりチョコレートなのかと思い、少し舐めてみたが、それはとても苦く食べられたもんじゃなかった。
ザャスヤンはあれから帰ってくる影もなし




