犬?
誤字脱字はご容赦
2人を置いて後ろ髪引かれる思いで12番スクリーンをでた俺は2人の娘からもらった温かい気持ちが急速に冷めていくのが分かった。
出来るならほんと関わらずに2人の娘と楽しく過ごしたい
だがこの場を離れるにしてもエレベーターはあの事故?のあった場所を抜けなければならないのだ。非常階段もその向こうにあるのでどうしても脱出経路の安全確認はしなければならなかった。
(ちくしょう!逃げる方向間違えたのは痛すぎる…)
少し前の自分を恨みながら少しずつ現場に向かっていた。
(やっぱりおかしい…さっきあんだけ悲鳴が聞こえてたのにこんなに静かになるの早いか?皆んな上手いこと逃げたにしても早すぎるし、逃げたとしたら何から逃げたかってのが問題やねんなぁ)
ふとそう考えながらあの時の映像が頭を過る
(あの通路が弾けた時、一瞬爬虫類みたいな眼が窓から見えた気がしてんけどな…あのデカさやとそれこそドラゴンとか?いやいや!ないない笑)
頭によぎった考えを馬鹿なことを、と軽く頭を振った瞬間通路の右奥に黒い塊が見えた。
(な、なんやあれ?デカイ犬?)
その塊は二メートルほどの大きさで大型犬でも通用しそうなサイズではあったのだが…
(あの咥えてるの、どう見ても人の腕やねんけど…)
辺りには赤黒いシミが出来ており骨も散らばっていた。犬?が食事をしてた跡がしっかり残っていた
この時、俺は当然の事ながら恐怖していた。だが辛うじて冷静さを保てたのは2人の娘が居たからだ
(あの犬っころ…もし俺が喰われたらそのまま美雪も胡桃も…あの2人が喰われる?いやいやふざけんなよ犬の分際で…)
恐怖を超えて怒りが込み上げてくる
よし、この犬?とりあえずコロス
「おすわりから教えてやるからかかって来いや!」
唸り声をあげながら鋭い牙を見せてゆっくりと近づいてくる犬?に声を出して気持ちを奮い立たせる。
(死んでもこいつはここで仕留める)
そう犬?を睨みながら上着を脱いで左腕に巻き付ける。
(あの牙に意味があるか分からんけどダイレクトよりはマシやろ)
気休めに服を巻き付けた左腕をやや前に出し、犬?の動きを見る。
距離がどんどん近くなる咥えていた腕らしき物は投げ捨てられ、口から血を垂らしながらゆっくりと確実に。
(やべぇ、めっちゃ怖い!俺犬に好かれる体質やからなんとかならんかな?って現実逃避はあかん…はぁ…左腕くらいはあきらめなあかんのかな)
覚悟を決めてシゲルはベルトを外して右手に持ち自分の出来そうな事を考える
(一番有効そうなんはベルトで首を締めて絞め殺すやな、その為にはあの獰猛な犬?にめっちゃ近づかなあかんのは怖いけど…後はたまたま履き間違えて履いてきた安全靴で蹴るくらいか…こっちは仕留めるのは無理やしな。よし、やるか愛する娘の為に!)
その時、犬?の間合いに入ったのか
ゆっくりと近づいて来ていた犬?が飛びかかってきた
「ガルルル!」
「うおっ!?」
間一髪体を捻って躱したが
(早すぎる!あの距離が一瞬で詰まるんかよ!)
冷や汗がどっと噴き出してきた。
「痛っ!」
(クソ!避けきれんかった…めっちゃ鋭いやんけ!爪もやべぇな…)
胸に三本の爪跡があり、そこから血が垂れていた
犬?は容赦なく迫り来る
「ガルルルル!」
「舐めてんじゃねえぞ!犬っころが!」
口を開けて飛び込んで来る犬?の口めがけて下から安全靴で蹴り上げる
「キャウン」
(馬鹿みたいに口あけて舌を垂らしてるから舌切るんだよ)
怯んだ隙に回り込んで後ろからベルトを犬?の首に巻き付けて力の限り締め上げる
(ちょ、こいつ暴れ過ぎ、振り落とされてたまるか!)
ヨダレを撒き散らしながら必死に抵抗する犬?落とされまいとベルトを強く握りしめてしがみつくシゲル
徐々に犬?の動きがゆっくりになり、やがて地面に倒れ込みそのまま動かなくなった。
(流石にもう死んだか?)
恐る恐る力を緩める。
力を込め過ぎた腕は両腕とも震えており
胸の傷からも血が流れており、なんとかなったなと一息つくのであった。
その時
「レベルが上がった」
頭の中に声が響いた
「は?」
その間の抜けた声に応えるものは無く
更に頭の中に声は響いた
「ダンジョン内ファースト討伐ボーナスを手に入れました。」
俺は頭を抱えた。
ラノベは好きでそこそこ読んでいたけどまさかのこっちにダンジョン出来る系のがくるんかよ…
(とりあえずステータス確認かな?ステータスオープンって言えばいいんかな?)
「ステータスオープン!」
…………………………
出ぇへんのかい!!超恥ずいわ!一人で良かったわ!
「ん?携帯が震えてる?」
確認するとどうやらスマホでステータスが確認できるようだった。
最初からそう言えや!恥
ステータス
ヒグチ シゲル
LV 2
HP 150/230
MP 50/50
攻 8
防 9
魔 5
速 7
スキル
カウンター 絞め技 分析 親バカ
ファースト討伐ボーナス
スペシャルウエポン引換券
…とりあえず親バカはなんらかの悪意を感じる。
ステータスって設定むずい。