冒険者試験4
不意に、ナットと呼ばれていた赤髪の少年に問われた。
苗字まで名乗るか一瞬迷ったが、未だこの世界の常識も分かっていない。
よくある、ファミリーネームって言うの?
家名は貴族しか持ってないかもしれないし、余計な事は言わない方が良いだろう。
「私は小春と言います。事情があって冒険者になる為に試験を受けに来ました。皆さんもですか?」
皆さんもですか?なんて聞いてみた。
何度も言うがコミュ障なのだよ私は。
会話を続ける努力...勇気の一言だよ。うん。
「おう!俺はナット。こういうダンジョンなんかで罠や敵を察知すんのは任せとけ!コハルさえよけりゃ、一緒に進もうぜ?ゴブリンをゴミ屑みたいに倒してるし実力も有りそうだし歓迎するぞ!」
言い方ひでぇ!!とは思ったけど有難い申し出ではある。
「ありがとうございます。1人では心細いので私は嬉しいのですが......。」
チラリと他の2人を見ると、ニコリと笑顔になる2人。
「勿論歓迎ですよ。僕はローダンと言います。冒険者も助け合いが大切ですし遠慮しないで下さいね。」
大人びた雰囲気の落ち着いたお兄さんってイメージのローダン。
「コハルさん!よろしくです。私はミーシャと言います。気軽にミィって呼んで下さいね。神官見習いなので回復魔法や支援魔法メインにサポートしますよー。」
小柄で気の弱そうなイメージのミィ。
歓迎してくれるようでホッとする。
「ありがとうございます。よろしくお願いしますね。」
「所で、コハルの武器は何だ?見た所随分身軽そうだけど?」
ナットは衝撃の質問を繰り出した!
そうだよ!私手ぶらですやん!
「言われてみれば......もしかして格闘家ですか?」
格闘家...武器じゃなくて体を使って戦うモンク的なやつだよね?
異世界だから違うなんて事ないよね?!
ローダンよナイスアイデアだ!
それで行こう!
「そんな所ですね。まだ自分に合うスタイルが分からなくて模索中で、未熟なのですが、お役に立てるよう頑張りますね。」