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第五章

書いてしまった部分を投稿します。見直すことになります。第一章冒頭からかなり手を入れています。よろしければご一読下さい。ダークファンタジーに突き進みます。

 まず、立ち上がれない滑利をシャワーの当たる所まで運ぶ。滑って胸あたりは触ったままだった。後ろから手を回して持ち上げた。どうやっても胸で止まる。

 ともあれ身体は洗える。

「大丈夫、ありがとう」

 滑利は笑顔に成っていた。

 髪は洗った後だった。水色のショート。

 何が起きてもいいように背中側で待機する。

「ねえ? もう星識くんも一緒に浴びちゃう? 待ってて貰うだけなのもどうかなって。もう、私全部見られちゃったよね」

 それはそうだけども。いや全部でもないし。

 雰囲気としては地獄の真っただ中だ。一人よりは二人の方がいい。それは体感としてある。

「今日、星識くんと一緒じゃなかったら駅で死んで、病院に行ってたと思う」

 振り向いた滑利は、形良い巨乳が見えるのも構わず顔を近づけた。

「ちょっとだけ、このイベントでいいなって思った事があるの。一緒に居られるなって」

 滑利から近づき滑利が求めるように、キスした。

「一緒に居てね。このイベントが終わっても」

 深い藍色の瞳が星識の瞳を見詰める。

「ああ。ずっと一緒に居るよ」

「嬉しい……」

 場所としては最悪だったが触手が蠢いていようが知った事か。

 すっかり脱いで洗濯機に放り込む。

 靄のような湯気の中を戻って滑利の真後ろに座った。

 湯気を出しっぱなしにしておけば触手もあまり気に成らない。天井からミストを降らせていた。シャワーの湯気もあって殆ど見えない。

 いつまでもある訳でもないだろう。それまで水道代は無視する。

 湯気に白く浮かぶ滑利の肌を見ていた。

「入れ替わる? 立てないけど這えるから大丈夫」

 タイルを滑るように滑利が動く。

 頭からシャワーを浴びた。

「疲れた……」

 と、うっかり言ってしまう。

「やっぱりムリしてくれてたのね。恩返しには足りないけど……」

 滑利が背中をスポンジで洗う。

「いいよ」

「やりたいからやってるだけ」

「じゃ、いいけど。……二人だと怖くないな。確かに」

 湯気の向こうが触手だろうが今は気に成らない。滑利との距離と息遣いと気配しか意識しない。

 武器も何もないが、いざとなれば『全着装』と言うだけだ。素っ裸だろうが攻撃力は戻る。

「洗って貰ってて悪いけど、強めでいいかな」

 人に洗って貰うとくすぐったいというか滑利の手つきのせいなのか変な感じだった。

「ごめんね。痒いとこも言ってね」

「いいんだけど、くすぐったいっていうか」

「……変な感じ、する?」

「そうだな」

「……じゃ、じゃあ、これは?」

 手だけで洗っている。

 いや何か当たった。

 胸だ。

「だ、だめだめだめ」

 変な声が出そうだった。

 滑利が前に回り込む。

「待て、待てよ」

「お願い。私を、もっと使って? 好きなように」

 切なそうな、蕩けたような、何かに耐えているような顔だった。

 息も荒い。頬も紅潮していた。もう、どうしようもない。そんな声と顔だった。

「私、さっきキスしてからっ。……もっと、欲しいって。星識くんの思うようにされたいってっ。ねえっ」

 泣きそうな、欲しがるような顔だった。

「こうしろって言って? 命令して? あ、あっ、もうダメっ」

 そっと星識は滑利の背に手を回した。

 抱き合った形になる。

 ゆっくりと背に沿って指を動かす。

「ん、ああっ」

 ぬるぬると身体の前面が触れ合う。溶けあってしまったかのように感じる。

「あっ、あっ」

 硬くなった乳首が星識の胸に触れる。胸が蕩ける。

「い、いいのっ」

 唇を合わせて、舌を絡ませ合う。唇を離しそうになると熱い息が漏れ、また滑利が物足りないように唇を合わせ吸う。ずっと星識の指先は背に沿って動いていた。

 指先が形のいい尻肉に触れ、撫でる。

「! んっ! んっ!」

 滑利の陶酔したように半開きの瞳。睫毛が何度も震えた。

 いつの間にか滑利は星識の膝の上に腰を載せていた。緩やかに滑利の腰が前後に動く。

 身体そのものが融合したようにきつく抱き合い、滑利の腰だけが何度も星識の太腿を行き来していた。びくびくと滑利の腰が震える。

「はあっ、ああっ、あああっ」

 泣き顔になり、滑利の全身が震えた。びくっと何度も背が震える。

 あ、あっ、と言いながら滑利の涙が溢れる。甘えたような、幼いような声に聞こえた。

「熱い。私も、星識くんの舌も熱い。私、なんか……どうにかなりそうで、おかしいの」

 涙は止まらない。また、びくっ、と滑利の背が震えた。震えは止まらないように見えた。

「もうおかしいのっ。身体が変になっちゃうっ。熱いのっ」


 滑利と向かい合って、洗い合ってからバスルームを出た。あれ以上は触手の生えている場所でする気になれない。

「なんか、怖かったからかな。傍に居てくれたからかな。……す、スイッチ入っちゃったみたい。……は、恥ずかしいけど、でも、本当の事だから」

 バスローブは有る。二人とも着替えて、リビングに戻る。喉が渇いていた。

「そうだ。水も無くなっちゃうね」

 水のペットボトルは防災用に買ってはある。24本しかない。

「水道が止まるほどにはならないんじゃないかな」

 あくまで希望だ。

「スタート。音楽。ニュースと混ぜて」

 そう大声で言う。自動選曲の音楽が流れTVが点く。

「冷蔵庫に在庫が不足しています。オーダーしますか?」

「あ、配達。それなら敵を相手にしなくて済むな。スタート。オーダーする」

「検索しましたが配達範囲外です」

「あ?」

 そんな訳がない。この間まで出来ていた。

「何か、異常が起きてるの?」

「うん……こういうのもイベントなのか? 街ぐるみで?」

 確かに田舎ではあるけれども。

 出来ていたことが出来ないというのはおかしい。

「事件の被害者の受け入れで一杯。あ、起きた人も居るんだ」

 インタビューはそれほど変ではない。

 ゲームの事はすっかり忘れているという事を除けば。さらに当日の記憶もない。

 しかし、異常な点はあった。

 誰と一緒に居たのかを覚えていないだけではない。

 ゲームをしてから知り合った全員を忘れている。

 一切の記憶がないのだ。

 ゲームだけではない。

 始めてから弾き出されるまで、その期間の記憶が欠落している。

 それ以外にも欠落している記憶はあり、現在医師が治療に当たっているという。

 幸い、意識や知能に異常はありません。良かったですね。とレポートはまとめられていた。

「……えっ?」


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