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【08】目覚めた少女は

第8話。

ちょっと短めです。

翌日。


優しい木洩れ日が少女の目蓋をくすぐる。


「んぅ・・・?」


これまでにない程、身体の調子が良い事に疑問を覚えながらも、ゆっくりと目を開ける。


目に入ってきたのは、昨日までとは違う風景。


「起きたか。身体の調子はどうだ?」


「ご、ごめんなさいッ!」


見知らぬ男の声に、反射的に飛び起きて床に降りようとする少女。


しかし、いつもと違う感覚に足がもつれ、よろめいてしまう。


「落ち着け。あの連中ならもういねぇよ」


よろめいた少女を支えたのはヴィルムだった。


ヴィルムの言葉を確認する様に周囲を見渡す少女。


そこに毎日自分を庇ってくれていた、もう一人の少女がいない事に気が付く。


「あ、あの、聞きたい事があるのですが、私と一緒にあの人達に捕まってたエルフの女の子を知りませんか?」


「あぁ、その子なら別の場所で休んでいる。後で事情を説明する時に会わせてやるよ。それよりも━━━」


顔を見て話していたヴィルムの視線が、少女の身体を捉える。


「脱げ」


「ッ!?」


助かったと思い始めていた少女の身体が、一気に強張る。


レイド達に捕まっていた時も、そういった欲望を向けられた事は何度もあった。


一緒に捕まっていたエルフの少女が、大人しくする事を条件に自分を庇ってくれていた事で見逃されていたにすぎない。


そのエルフの少女は別の場所で休んでいると言う。


少女には、ヴィルムが「言う事を聞かなければ彼女を害する」と言っているように聞こえたらしい。


今まで庇ってくれていた、エルフの少女。


次は自分が彼女を守ろうと心の中で決意する。


「あ、あの、やっぱりそういう事、するんでしょうか?言う事は聞きますから、ら、乱暴には、しないで下さい」


身体の震えを両手で抑え、目を伏せながらも命令を受け入れる旨を伝える。


「痛くはしねぇよ。どうしても不安なら目ぇ瞑って別の事考えてろ。すぐに終わる」


「・・・はぃ」


消え入る様な小さな返事を聞いたヴィルムは、ニヤリと笑うと少女の汚れた衣服を一気に脱がした。


羞恥のあまり、少女の顔が真っ赤に染まる。


「いい子だ。外に行く。着いて来い」


(外!?外でするの!?)


恥ずかしさと悔しさが次々に浮かんでは消え、最後には諦めの感情が表れる。


(私が、言う事を聞けば・・・)


小さな両手で出来る限り自分の身体を隠しながら、ヴィルムの後に着いていく。


ヴィルムが足を止めたのは、幻想的までに美しく透き通った泉。


少女が着いて来ている事を確認したヴィルムは、自身も衣服を脱ぎ去り、少女を担ぎ上げる。


(この人が、あの子に手を出しませんように・・・)


目を閉じ、祈る少女に訪れたのは━━━


〝ザッパァァァン〟


━━━ 一瞬の浮遊感と、着水の衝撃だった。


「あふぁ!?かぼっ!ひゅぐっ!?はしゅっぷへっ!?」


予想外の出来事に暴れもがく少女。


「ほれ、大人しくしろ。そんなに暴れたら洗いづらいだろうが」


後を追う様に泉に入って来たヴィルムに支えられ、ようやく彼女は思考を再開する。


「かひゅー、かひゅー・・・、あ、あの、私を犯すんじゃ?」


「あん?何で会って間もないお前と子作りせにゃならんのだ。それにお前、まだ子供だろ?身体が成長してない時期に子供を宿すと、その子供もお前自身の身体も危険なんだ。覚えておけ」


「・・・じゃあ、私は何の為に裸にされたんですか?」


「変わった奴だな。身体を洗うのに服着たまま洗うのか?」


ようやく、自分が勘違いしていたと気付いた少女の顔は、先程よりも遥かに真っ赤に染まる。


更には何も知らない子供だと思われ、子作りする事の危険性を説明されるおまけ付き。


恥ずかしさのあまりに両手で顔を覆って見悶えている少女。


あの決死の覚悟はなんだったのか。


ヴィルムの方は、やっと大人しくなったかと少女の髪を洗い始める。


ワシャワシャと音を立てて、泡と共に汚れが流れ落ちる。


優しい香りが少女の鼻孔を刺激し、自然とリラックスした表情になっていく。


「こ、これは何でしょうか?スゴく良い香りがします」


「気に入ったか?これはいくつかの植物の葉や実を混ぜ合わせた、汚れを落とすのに効果的な薬だ。目に入ると染みるから、流すまで開けるなよ?」


「は、はぃ」


少し慣れてきたのか、ヴィルムの言葉に抵抗なく従い始める少女。


「よし、流すぞ。少し息止めてろ」


少女が息を止めたのを確認したヴィルムは、泡立った髪を一気に水で流した。


現れたのは、ツヤツヤした栗色の髪の毛。


「よし、髪の毛はこれでいいな」


ぷるぷると頭を振って水を振り払う少女。


「次は身体を洗うぞ。ほら、こっち向け」


ピタリ、と、その動きが止まった。


「あ、あの~、身体は自分で洗いたいなぁ、なんて・・・」


ゆっくりと、強張った笑顔を張り付けながら振り返る。


「あほぅ。お前を洗ってやる為に、大事な身内を待たせてるんだ。大人しくしてろ」


言うが早いか、泡立てた乾燥ヘチマの様な物で少女の身体を洗い始める。


「わきゃー!?」


悪意がないとは言え、異性に身体を洗われる事に抵抗を見せる少女だが、驚異的な身体能力を持つヴィルムに敵うはずもない。


「あひゃ!?やっ・・・ちょっ、あっ!そこはっ・・・あん♪ダメ、ですぅ・・・」


絵的に見ればヴィルムが少女を襲っている様にしか見えない。


・・・お見せ出来ないのが残念です。


しっかりと身体の隅々まで洗われた後、ようやく解放された少女は、簡素ではあるが清潔な服を渡され、もそもそと着替え始めた。


着替えている少女を尻目に、手早く自分の服を着込んだヴィルムは、泉に視線を向けて話し始めた。


「皆、終わったよ。今日はいつもより汚れちゃったから、念入りに頼むよ。その分、魔力は奮発するからさ」


誰に向かって話してるのかと視線を移した少女の目が、青色や水色に輝く光の玉を捉え、見開かれる。


「よ、妖精・・・?人前に姿を現す事なんて滅多にないのに・・・」


実際には最上位である精霊獣━━━ラディアを見ているのだが、衰弱し、意識が朦朧としていたせいか記憶が飛んでいるようだ。


ヴィルムの周りを楽しそうに、嬉しそうに飛び交う妖精達。


『マカセテ!マカセテ!』


『オソウジ!オソウジ!』


『キレイニスル!ゴホウビ!イッパイ!』


ヴィルムの差し出した手のひらに集まり、思い思いに魔力を貰っている。


先程までの表情とは違う、心の底から慈しむ様な、慈愛に満ちた笑顔を見せるヴィルム。


(こんなに優しい表情してる人、見た事ないかも・・・)


しばらくの間、その笑顔に見惚れてしまう少女であった。


魔力を貰って満足した妖精達は、次々に泉の浄化作業に取り掛かっていく。


「よし、皆が待ってる。行くぞ」


ヴィルムは、妖精達に後の事を任せると、惚けてる少女に声をかけて歩き出した。


ハッと意識を取り戻した少女は、慌ててヴィルムの後に続く。


緊張こそあるものの、ヴィルム対する恐怖や不安は薄れていた。

完全にその場の思い付きで書き走った話。

多分思い付いてから書き終わるまで三時間もかかってないんじゃないかな。

(仕事の休憩中にしか執筆出来ないから、飛び飛びで書いてたけど)


ヴィルムは性知識はあるけど、純粋すぎて子作りとしての行為としか捉えてない感じですかね?

そのあたりは動物に近いのかもしれませんね。

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