表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/115

【26】事後処理

短めの話が続いてしまい申し訳ありません。


夜明け直後、メルディナとクーナリアの報告を受けたファーレンの冒険者ギルドは、上へ下への大騒ぎとなっていた。


職員達は訪ねてきた二人を見て、出発の挨拶にきたのかと思っていたが、告げられたのは山賊達の討伐完了の報告だった。


早すぎると言う者もいたが、今、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続け、依頼達成率十割を誇るパーティの報告だ。


更には証拠として、被害にあった旅人や商人達の持ち物らしき品を提出されては信じる他ない。


「すぐに出発出来そうな冒険者達を募って!今回に限りEランクの方でも構わないわ!」


「今回は簡易的な記入用紙でいいから数を用意して頂戴!ちゃんとしたモノは後日作成します!」


報告にあった山賊団の規模や溜め込んでいた盗品の量から、大勢で向かわなければ回収しきれないと判断し、職員を含めた数十人規模で山賊団のアジトへ向かう事になり、その護衛や荷物の運搬の為に冒険者達をかき集めているという訳だ。


「たまたまだったが、早くに来て正解だったな!」


「えぇ、こんな割りのいい仕事は滅多にないわね」


「おい、あいつはどうした? は?寝てる? バカッ!早く起こしてこい!」


冒険者達は冒険者達で、命の危険も少なく、緊急の依頼という事で割高になった報酬を見て、嬉々として仕事を受注している。


今回は山賊達から回収した物資を不正に取得させないように、ギルドマスターであるシャザールも同行する事となった。


冒険者が二十五名集まった時点で受注を締め切り、ギルド職員五名と案内役としてメルディナとクーナリア、そして総括のシャザールを加えた総勢三十三名での出発となった。






* * * * * * * * * * * * * * *






「こ、これは・・・」


「凄まじいな・・・」


「うっぷ、俺、もうダメ・・・」


山賊団のアジトに到着した彼らは、現実を受け入れきれないでいた。


一刀の元に両断された者。


首が有り得ない方向に折れ曲がっている者。


胴体にぽっかりと穴を開けている者。


腐臭こそしないものの、凄惨な死体が散らばるその光景は、まさに地獄と言えた。


精神の弱い者達は我慢しきれずに吐いている。


「ギルドマスターまで来たんだな。メルディナ、クーナリア、お疲れ様。もう少し時間がかかるかと思ったが予想より早かったな」


声のした方を向いていると、拘束された山賊二人を引き連れたヴィルムが歩いて来ていた。


山賊二人の表情は恐怖に染まり、身体も小刻みに震えている。


「ヴィルムくん、山賊団の討伐ご苦労様。あまりに早い報告だったから驚いたよ」


「山賊達の生き残りはこの二人だけだ。こいつらが溜め込んでいた盗品は、そこの洞窟にあったぞ」


「すぐに確認させよう。ギルド職員は簡易目録を作成。冒険者達は目録を作り終えるまでに死体の片付けと周囲の警戒を始めてくれ」


ヴィルムは捕らえていた山賊二人をシャザール達へと引き渡した。


引き渡された二人の表情が明らかにほっとしたものに変わったのは見間違いではないだろう。


シャザールの指示に従って全員が仕事に取り掛かるが、死体の片付けは率先してやろうとする者がいなかったので、ヴィルム達が引き受ける事にした。


「クーナリア、衝撃を目標物の内部に浸透させるんだ。そうする事で破壊力が大きく増す。よく見ていろ」


いつも通り、身体強化を施した拳を地面へと叩き付けるヴィルム。


〝ドッオオオォォォン!!〟


その瞬間、大きな爆発音が響き渡り、ヴィルムの周囲に土砂の嵐が降り注ぐ。


爆発音に驚き、作業を中断した冒険者達が見た物は、地中深くまで抉れた大穴だった。


「まぁ、こんな感じだ。クーナリア、やってみろ」


(((んな事出来てたまるかぁぁああ!!)))


見た目十歳前後の可愛らしい女の子(クーナリア)への無茶振りに、冒険者達の心の声がひとつになる。


「はい!やってみます!」


(((あぁもう!クーナリアちゃんって可愛いなぁ!!)))


疑いもせずに可愛らしく気合いを入れるクーナリアを見て、またしても心の声が重なる。


見よう見まねで、端から見る分にはヴィルムと全く同じフォームで拳を地面へと叩き付けるクーナリア。


〝ドオォォン!〟


ヴィルム程ではないが土砂が四散し、人が三人くらい入るくらいの穴が開いた。


「お師様!出来ましたぁ!」


(((・・・何で出来るんだよぉぉおお!!)))


まさかの結果に、三度(みたび)、彼らの心の声はひとつになった。


心の声が騒がしい冒険者達を尻目に、山賊達の死体を掘った(?)穴へと蹴り落とし、埋めていくヴィルム達。


そうこうしている内に職員達による目録作りが終わり、誰が何を運搬するかを記載しつつ、盗品の数々を運び出していく。


全ての荷を運び出した後、一行はファーレンの街へと戻る事になった。






帰りの道中にて、彼らの話題がヴィルム達についてのモノに統一された事は言うまでもない。

文章力もそうですが、物語を作る構成力も勉強していかなければと感じています。

なかなか他の作者様方のようにはいきませんね。


次回は5/19、一話+登場人物紹介を投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 一気読みしてる最中ですがめちゃくちゃ面白いですね!! 続きも気になるので今から続き、読んでいきます(`・ω・´)キリッ [気になる点] 長さもそこまで気にならず、面白いし特にないです [一…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ