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【19】初仕事:朝の部

ちょっと短いです。

まだ日も登りきらぬ早朝、ヴィルム達は冒険者ギルドの依頼書が貼られている掲示板の前に集まっていた。


冒険者として活動実積があり、すでにBランクであるメルディナはともかく、冒険者として登録したばかりのヴィルムとクーナリアが請け負える仕事は少ない。


三人が手にしたのは以下の依頼書である。


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“はぐれコボルトの討伐“


・依頼者:商人ギルド


・報酬:銀貨六枚


・場所:ファーレン街道


・依頼内容:群れからはぐれたコボルト二匹が旅人や行商人の隙をついて荷物を盗んでいる。盗まれた物から見て、食料が目当てだと思われる。この二匹を退治して欲しい。


・備考:コボルトの討伐はDランクの依頼であるが、群れからはぐれた個体である事から、Cランク以上の冒険者が監査につく事を条件にEランクの冒険者でも受注可とする。


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“ペットの散歩代行“


・依頼者:ソノッタ男爵夫人


・報酬:金貨一枚


・場所:ソノッタ男爵邸


・依頼内容:ペットの飼い主である夫人が足を挫いた為、散歩に連れていく事が出来ず、ペットのストレスが溜まっている。使用人にもあまりなついてない為、冒険者ギルドから面倒を見れる者を派遣して欲しい。


・備考:散歩に限らずペットのストレスを解消出来るのであれば、別の手段も許可する。成果によっては報酬の上乗せ有り。


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“ルオナ草とクシケドの実の採取“


・依頼者:冒険者ギルド


・報酬:ルオナ草(一つにつき)銀貨一枚、クシケドの実(一個につき)銅貨五枚


・場所:指定なし


・依頼内容:新たに発見された、ルオナ草とクシケドの実の加工方法と効果の検証の為、出来るだけ多くの数量を採取してきて欲しい。


・備考:受注に当たって人数、個数制限は設けない物とする。また、市場価格の混乱を避ける為、屋外に自生する物のみを対象とする。市場で購入した物を納品した場合は、発覚次第、依頼達成の取り消し及び、不正行為として処罰するものとする。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


初心者(Eランク)の仕事は、どれも難易度、危険度共に低い物ばかりだ。


朝も早い為、新規に出された依頼は丸々残っているらしく、“ペットの散歩代行”は内容に対して破格の報酬と言えるだろう。


「ギルドマスター、ヴィルが教えた方法が画期的だったものだから、ずっと研究室に籠ってるらしいわよ」


「じゃあ初心者講習会で教わる薬草学の内容も変わるかもしれないですね、お師様?」


「そうだな。助言が役に立ったようで何よりだ」


依頼書を手に取り、受注カウンターに向かう三人を出迎えたのは、ギルド登録の日からヴィルム達の担当の様な扱いになっているセリカだった。


「あ、皆さんおはようございます。お早いんですね」


「おはよう、セリカさん。今日はヴィルとクーナの初仕事だもの。いい仕事でスタートしたいじゃない?」


「なるほど。ヴィルムさん、クーナリアさん、初仕事、頑張って下さいね!」


「あぁ、ありがとう」


「ありがとうございます、セリカさん。頑張って来ますね!」


何度か話す内に慣れてきたのか、ヴィルムに怯える事なくエールを送るセリカ。


簡単な補足説明と注意次項を話ながらも、テキパキと受注処理をこなしている。


涙目になったり無茶振りされたりと、不憫なイメージがある彼女だが、こちらが本来の姿である。


何だかんだと言いつつ、任された仕事は全てこなす万能っぷりだ。


事務処理能力が高い故に、シャザールから無茶振りを受ける訳だが・・・。


程無く受注手続きを終えたヴィルム達は、セリカに見送られながら、冒険者ギルドを後にした。






* * * * * * * * * * * * * * *






「クーナリア、右の茂みだ」


「はいです、お師様!せぇぇやぁぁあっ!!」


クーナリアの大斧が、コボルトの片割れを両断する。


相方が真っ二つになった事に恐怖したもう一匹のコボルトは怯えて逃げ出すが、素早く回り込んだヴィルムに敢えなく掴まる。


『ギャウッ!ギャウッ!』


必死に逃れようと暴れるが、その程度でヴィルムの拘束が緩むはずもない。


〝ゴキャッ!〟


一瞬で首の骨を折られたコボルトは、悲鳴をあげる間もなく絶命した。


「よし、これで依頼達成だな」


「これ、ヴィルとクーナに監査役なんて必要あったのかしら・・・?」


『絶対いらないよね。ヴィルムに至ってはワタシ達より強いし』


あっさりとコボルトを屠った二人を見て考え込むメルディナとミゼリオ。


警戒心が強く、隠れていたコボルトは、ヴィルムが僅かな気配を捉えて簡単に見つけ出してしまった。


「クーナリア、素早い動きに惑わされずちゃんと捉えてたな。よくやった」


「えへへ~♪」


クーナリアはヴィルムに誉められて御満悦である。


嬉しそうに目尻を下げて、撫でられるがままになってる姿は非常に可愛らしい。


「ルオナ草もクシケドの実もそこそこ採れたし、後はソノッタ夫人のペットの散歩だけね」


「冒険者と言えば魔霧の森に入ってくる奴らしか知らなかったが、そんな事もしているんだな」


「探索や魔物討伐だけで稼いでいるのはほんのひと握りよ。大抵の冒険者は色んな雑事もやらないと食べていけないわ」


『メルディナは遺跡の探索なんかをメインにやってたけど、やっぱりそれだけじゃ生活出来なかったもんね~』


「まだお昼前ですし、ペットちゃんのお散歩も充分出来そうですね」


受注した三件の依頼の内、二件を手早く済ませたヴィルム達は、残る一件の依頼が待つ、ソノッタ男爵邸へと向かって行くのであった。

キリが良いので短くなってしまいました。

次話も同時に投稿してますので、そちらも楽しんで下さいませ。

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