Episode:08
傍受したものの中に、通信石の番号を直接打ち込んだものがあった。普通にはやらない方法だ。
(何をする気なのやら)
思うのとほぼ同時に、指が動いて検索をかける。しかし引っかかってこない。
だが幸い追跡させておいた方から、場所を特定ができた。
「これは……!」
普段はどんなときでも冷静なタシュアだが、さすがに驚愕の色を隠しきれなかった。
打ちこまれたのは世界中の軍関係者が、熱望してやまないものだったのだ。
(シュマー……彼女はあの、シュマーの関係者だったのですか)
その筋では伝説にもなっている、シュマー家。
代々傭兵をし、子弟を戦場で育てるという曰くつきの家系だ。それ以外にも数々の兵器や武器防具を開発している等、噂は尽きない。
だが裏の存在ということもあり、実態はようとして知れなかった。
その内部通信網が、目の前にある。
(まさか、こんなところでお目にかかれるとは)
だが、そこに若干の気のゆるみがあったらしい。
その相手――どう考えてもルーフェイア――が、入らずに移動した。
(おや、追跡しているのがばれましたか? まぁ、場所はわかりましたから、かまいませんか。
お礼に少し、遊んで差し上げましょうかね)
場所さえわかっていれば、いつでも解析や傍受等は可能だ。タシュアの腕なら、もう入りこんだも同然と言えた。
いったんシュマーのほうは諦め、追跡にかかる。
例の相手は、転々と場所を移していた。だが、その速さはけして抜きんでたものではない。なにより、このように追われるのはおそらく初めてなのだろう。痕跡を慌てて消しているのが見て取れた。
行動もまだ単純で、簡単に先が読める。
(ここからですと……なるほど、あそこのルートを使いますか)
次に使うルートを予測したタシュアは、追跡の手をいったんゆるめ、行き先に罠を張る。
案の定、相手はその網にかかった。
(まぁ、こんなところですかね? なにより収穫がありましたし)
ものはついでと、おそらく震え上がっているかの少女の端末に、メッセージを送りつける。普通なら危険な方法だが、あの程度の腕ではとてもここまでは、逆探知できないはずだ。
そこまでしておいて、タシュアはあらためてシュマーの内部へ入りこむべく、本格的なアクセスを開始した。