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表と裏 ルーフェイア・シリーズ06  作者: こっこ
Chapter:01 遭遇
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Episode:05

――ともかくここを離れないと。

 シュマーの内部に入られでもしたら、大変なことになる。

 急いで交信記録を消しながら、別の通信ポイントへと移る。

 なんだかひとつ飛んだだけじゃ安心できなくて、二つ、三つと移動した。


 けど。

――警告が消えない?!

 その「誰か」は、あたしの後をぴったりとついてきていた。

 まるで頭から、冷水をかけられたような気がする。

 でも、どうにか逃げないといけない。相手が誰にせよ、捕まったら大変なことになる。


 なるべく自分が知っているポイントを経由するようにしながら、必死で逃げ回った。

 けど、捲けない。

 向こうのスピードが速すぎて、太刀打ちができない。

 足跡を消さなければ逃げられるかもしれないけど、それをやってしまったら終わりだ。


 逃げ道がないかと、ざっと通信網を見渡す。幸いすぐ近くに、使われていないルートがあった。

 ここを使えば、そう思って通ろうとして。

――しまった!

 ブロックされてる。こっちの手を読まれて、先回りされてる。


 逃げられない、そう思ったとき不意に、魔視鏡に伝言が現れた。

『意外にやりますね、楽しかったですよ。――では、またいずれ』

 わざわざこんなふうに危険を侵してメッセージを送るなんて、よほど自信がある証拠だ。

 急いでメッセージから逆探知しようとしたけど、当然そんなことをさせてくれる相手じゃなかった。やっと分かったのは、学内からアクセスしているってことだけ。

 そして警告表示が消える。


 思わず倒れそうになったけれど、どうにかこらえてきちんと、手順を踏んで交信を終えた。

 身体が汗でびっしょりだ。

 息が苦しい。

 戦場で太刀を振り回している方が、よほど楽だ。


「ただいま、遅くなっちゃってさ〜。あれ、ルーフェ?」

 ロア先輩が戻ってきたけれど、立ち上がる気力もない。

「どしたの!」

「交信してて……誰かに、追いかけられて……」

 やっとそれだけ言うと、すぐ先輩は事情を飲み込んでくれた。


「わかった。キミの端末どこ通ったか記録するようにしておいたから、あたしが足跡みてあげるよ。

――だから心配しないで?」

「はい……」

 少し安心して、立ち上がる。


「ルーフェはもういいから、寝るんだよ? かなり顔色悪いから」

「……すみません」

 ロア先輩が見てくれるのだからだいじょうぶ、そう自分を無理やり納得させて、あたしはベッドにもぐりこんだ。




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