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表と裏 ルーフェイア・シリーズ06  作者: こっこ
Chapter:04 理解
32/32

Episode:32

「その、すまない。タシュアはいつも……ああなんだ。このあいだのことも、悪気があったとか、そういうのじゃなくて……」

「――はい」

 今ならあたしにも、分かる。タシュア先輩は冷酷とかじゃなくて、人と距離を置くだけなのだと。


「良かったら……もう少し、食べないか?」

「あ、はい」

 シルファ先輩に言われて、食べかけたままになっていたケーキに手をつける。オレンジの味と香りが、爽やかだった。


「――おいしい」

「そうか、よかった」

 先輩の嬉しそうな顔に、あたしも微笑む。

「もっと、食べるか?」

「いいん……ですか?」

「ああ。そのために、作ったのだし」


 こんどは二人で並んで、ケーキとクッキーを口に運ぶ。どれもお店で買ったみたいにおいしかった。

 そうしてどのくらい、仲よく食べていただろう? とつぜん何かのアラームが鳴って、持っていたクッキーを落としそうになる。


「あ、驚かしてしまったな。その……当番、なんだ」

「え、先輩、それじゃ早く……」

 学院の当番は減点対象だから、忘れると大変だ。

 急いで片付けながら、シルファ先輩が立ち上がる。


「タシュアのこと――すまなかった」

「いいえ」

 先輩の言葉に首を振る。謝ってもらう必要は、ない。

「そうか。その、また、来るから」

「はい」


 シルファ先輩の姿がドアの向こうに消えたのを確かめて、あたしは枕元の引出しから、一通の手紙を取り出した。

 倒れる直前にファクトリーに問い合わせた、タシュア先輩の素性が、今ごろになって返ってきたのだ。

 わざわざ手紙で寄越したのは、監視されてることを考慮したんだろう。手紙は時間がかかるけど、そのぶん安全だ。


 封を切る。

――タシュア=リュウローン。性別男性、年齢及び生年月日不祥。

 その他、かなり細かいことが書いてある。

 それをあたしは、破り捨てた。



◇あとがき◇

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

明日より第7作、「立ち上がる意思」の連載に入ります。今までと同じく、夜8時過ぎの更新です。

明日は筆者サイト、小説家になろう/読もう内での検索、既存作よりのリンク等から、新作へお願いします

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