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表と裏 ルーフェイア・シリーズ06  作者: こっこ
Chapter:03 恐慌
21/32

Episode:21

◇Rufeir

 ふっと目が覚めた。

 イマドが心配そうな顔でのぞきこんでいる。

 目が合うと、静かな声で聞いてきた。


「気持ち悪くねぇか?」

「……うん」

 ここ何日か吐き気がして食べられなかったのを、彼はずいぶん心配していた。

 でも今日は少し、身体が楽だ。

 窓の外は、数日ぶりに雲一つない青空だった。


「今日って……お天気、いいんだね」

 腕に力を入れて起き上がろうとしたら、なんだかめまいがした。

「ムリすんなよ」

「……起きたいの」


 よく分からないけど、あの空を見ていたら、そう思った。

 きっと外へ出たら、気持ちいいだろう。

 イマドが察してくれたみたいで、窓を開けた。


「あ、気持ちいい」

 吹き込んでくる風。

 ちょっとだけ心が軽くなった気がする。

「少し、外でも出るか?」

「……うん」


 もしかしたらムアカ先生に止められるかと思ったけれど、あっさり許可が出た。

 なんだか安心して、着替えて立ちあがる。足元も、思ったよりはしっかりしてた。これなら少し、遠出できるかもしれない。


 そっと、歩き出す。イマドがペースをあわせて、ついてきてくれた。

 いつもよりずっと長い時間をかけて、船着場までの坂を下る。

 遠く遥かに広がる、碧い海。

 いろいろな想いが、その碧の中に溶けていく。


「どする? ケンディクまで行ってみっか?」

「そうだね……あの街、見たいな」

 あの青い街。大好きだ。

 時々あたし、用事がなくても出かけて、散歩したり港で海を眺めたりしてる。


「んじゃそうすっか」

「……ありがと」

 ちょうど来ていた連絡船に、用心しながら乗り込む。さすがに五日も寝てたから、気を抜くとふらつきそうだ。


 窓際の席に座る。

 船が出て、景色が動き始めた。

 このあいだ来た時よりもまた、緑が濃くなっている。陽の光の下で輝く緑は、なんだか涙がでそうに綺麗だった。




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