Episode:21
◇Rufeir
ふっと目が覚めた。
イマドが心配そうな顔でのぞきこんでいる。
目が合うと、静かな声で聞いてきた。
「気持ち悪くねぇか?」
「……うん」
ここ何日か吐き気がして食べられなかったのを、彼はずいぶん心配していた。
でも今日は少し、身体が楽だ。
窓の外は、数日ぶりに雲一つない青空だった。
「今日って……お天気、いいんだね」
腕に力を入れて起き上がろうとしたら、なんだかめまいがした。
「ムリすんなよ」
「……起きたいの」
よく分からないけど、あの空を見ていたら、そう思った。
きっと外へ出たら、気持ちいいだろう。
イマドが察してくれたみたいで、窓を開けた。
「あ、気持ちいい」
吹き込んでくる風。
ちょっとだけ心が軽くなった気がする。
「少し、外でも出るか?」
「……うん」
もしかしたらムアカ先生に止められるかと思ったけれど、あっさり許可が出た。
なんだか安心して、着替えて立ちあがる。足元も、思ったよりはしっかりしてた。これなら少し、遠出できるかもしれない。
そっと、歩き出す。イマドがペースをあわせて、ついてきてくれた。
いつもよりずっと長い時間をかけて、船着場までの坂を下る。
遠く遥かに広がる、碧い海。
いろいろな想いが、その碧の中に溶けていく。
「どする? ケンディクまで行ってみっか?」
「そうだね……あの街、見たいな」
あの青い街。大好きだ。
時々あたし、用事がなくても出かけて、散歩したり港で海を眺めたりしてる。
「んじゃそうすっか」
「……ありがと」
ちょうど来ていた連絡船に、用心しながら乗り込む。さすがに五日も寝てたから、気を抜くとふらつきそうだ。
窓際の席に座る。
船が出て、景色が動き始めた。
このあいだ来た時よりもまた、緑が濃くなっている。陽の光の下で輝く緑は、なんだか涙がでそうに綺麗だった。