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表と裏 ルーフェイア・シリーズ06  作者: こっこ
Chapter:01 遭遇
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Episode:02

「先輩、いいんです! ほんとにあたしが悪いんですから!」

 ルーフェイアがとっさに間に入らなかったら、またひと悶着あったかもしれない。

「けどねえ、ルーフェ!」

「ほんとなんです!

 あの、先輩、すみませんでした。こんどから……気をつけます」


 少女が丁寧に頭を下げる。

 だがタシュアはそれに答えるどころか、完全に無視して視線を本に戻しただけだ。

「――!」

 再び何事か言いかけたロアだが、今度もルーフェイアが止める。


「あたしが悪いんですから!」

「………」

 少女の必死の懇願に、ロアもようやく怒りの矛先を納めた。

 タシュアを睨みつけてから、ルーフェイアの手を引いて図書館を出て行く。


「ところでさ、なんだってあんなやつに、ちょっかいだしたわけ?」

 外へ出てから、ロアは少女に尋ねた。

「あの、本の詳しい題名……見たくて」

「だからって何も、あんなののそばに、わざわざ行かなくたって」

 ロアが呆れる。


「あの、そんなに……ダメないんですか?」

「いけないもなにも――って、そうか。ルーフェは知らなかったんだ」

 ロアはタシュアと同クラスだし、しかもほとんど同時に入学しているが、ルーフェイアはまだ学院に来て一年と経っていない。いくらタシュアが有名人とは言え、同級生でないのだから、知らないのもうなずけた。


「あいつさ、タシュア=リュウローンって言うんだよね。で、学年でもトップクラス。それにあの通り、外た目もまぁ、悪くないんだけどさ。けど中身がねー!」

 よほど腹に据えかねたのか、息つく間もなくロアが喋る。


「ったく、あの口の悪さだよ?!

 本人は『事実言ってるだけ』って言うけどさ、なんでも言やぁいいってもんじゃないっての!」

 ロアはまだ、怒りが収まりきっていないようだ。


「でも……あたしが……」

「ほんとにそうでも、普通ああは言わないよ!

――あ〜もう! また腹立ってきた。ちょっとルーフェ、どっか行って憂さ晴らしっ!」

 ルーフェイアの手を強引に引いて、ロアは食堂へ向かった。




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