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表と裏 ルーフェイア・シリーズ06  作者: こっこ
Chapter:02 実力
17/32

Episode:17

「えぇ〜! よりによって、あいつに知られたわけ?!」

 部屋へ戻ってきたロア先輩に昼間のことを言うと、イマドとほとんど同じリアクションをした。

「やっぱり……まずいですか?」

「多分学院内じゃ、いちばんヤバい相手だね」


 それを聞いて、気が重くなる。もしこれで家になにかあったら、完全にあたしのせいだ。

 ともかくことの次第だけは連絡しようと、端末を立ち上げる。

 その時、ふと思いついた。


「ロア先輩、タシュア先輩のラストネーム、リュウローンですよね?」

「そだけど?」

 ロア先輩、タシュア先輩と同じクラスなだけあって即答する。


 リュウローン。その名にあたし、聞き覚えがあった。たしか、どこかの研究者と同じだ。

 その人はもう亡くなってて、でも子供向けに易しく書いたこの人の本を、読んだことがある。

 あと、研究にまつわるおかしな噂を、ファールゾンから聞いたことがあった。

 それがとても……気になる。


 それも踏まえてざっと経緯を書いたうえで、問い合わせ事項も付け加えて、伝言を魔視鏡から送ろうとした、その瞬間。

「だめっ、ルーフェ! そっち監視されてる!!」

「え……!」


 思わず驚いて、魔視鏡から手を離した。

 ロア先輩が隣の自分の機で、なにやら操作を始める。

「ったく、どこまで根性ひん曲がってんだか……あ、逃げられた!」

 先輩が悪態をつきながら立ちあがったけれど、あたしはもう聞いてなかった。


 身体が冷たくなる。

 怖い。

 まるで心臓を掴まれたみたいだ。


「ルーフェ?」

 あたしの様子に気がついたらしく、先輩が声をかけてくる。

 けど、答えることさえ出来ない。

 訓練のときみたいに、また吐き気がして、あたしは口元を抑えた。


「ちょ、ちょっと大丈夫? 気持ち悪い?!」

 先輩の慌てた声。

「立てる? こっち来て……ほら、いいから吐いちゃって」

 抱えられるように連れて行かれた洗面所で、あたしは吐いて倒れた。




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