Episode:13
あたしたちのチームは順調だった。
もっともこれは、イマドの力が大きい。意外なことに彼、トラップや鍵の解除に相当長けていた。なにしろツールを使って、思考石を使ったものまで解錠するのだ。
――でも、どこで覚えたんだろう?
ともかく守備側が仕掛けたトラップを次々とイマドが解除し、そこをあたしとタシュア先輩が突破する形で、かなりの短時間でそうとう奥まで来ていた。
「恐らくこの階段の上の部屋が、守備側の拠点でしょうね」
「はい」
それにしてもこの先輩、できる。
単に強いというのではなくて、戦闘のコツを飲み込んでいるというんだろうか? 一種あたしの動きに似ているものがあった。
「さて、今度はどう行きますかね……おや」
「なんだ、やっと雑魚でもきたのか?」
奥から声と共に出てきたのは、知らない先輩だった。でも確か、ロア先輩たちより年上で、上級傭兵の資格を持ってた気がする。
「ほら、出てこいよ。隠れてたって何にもならねえぞ」
なんだか挑発してるらしい。けど当のタシュア先輩は、完全に無視だ。
そしてあたしたちに背を向けたまま、話しかけた。
「しかたありませんね。とりあえず私が彼をおびきだします。
その間に、あなた方はあの下級生2人を切り抜けて、場所を確保していただけますか?」
「場所を確保するだけでいいんですね?」
いちおう、確認する。
「それで構いません。ここの奥はおそらく本丸ですから、全員で行く方がいいでしょう。
場所を確保して待機。命令です」
「了解」
あたしとイマドの声が小さく重なる。
「では行きますか。あまり気は進みませんが」
そういって廊下の陰から、タシュア先輩が出た。
「ほぉ、おまえか。まともに訓練に参加するなんざ、点でもヤバくなったのか?
だいいち、いつもこそこそ逃げてくヤツが俺の相手しようなんざ、10年早ぇな」
「別に逃げた覚えなどありませんよ。レベルの低い方とは、付き合いたくないだけです」
こんどはタシュア先輩が挑発する。
でもこれ、ほんとに意識してやってるんだろうか?
まさか、無意識に言ってるなんてことは……。
「フン、ホネなしの割には言うじゃねぇか。もっともお前じゃどうやったって、俺様の相手には役不足だがな」
「おやおや、自ら格下と認めるとは随分と殊勝な心構えですね。それに免じて見逃して差し上げましょうか?」
まるで教官が生徒に指摘するような、馬鹿にしているようにも聞こえる口調。
「誰が格下なんて言ったんだ? おまえの耳は節穴か?」
「自分の間違いにも気づかないとは、それでよく上級だなどと言えますね。言葉は正しく使わないと、恥の上塗りになるだけですよ。
もっともあなたでは、いまさら塗るものもないかもしれませんが」
この言葉に、相手の先輩が逆上する。