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表と裏 ルーフェイア・シリーズ06  作者: こっこ
Chapter:02 実力
10/32

Episode:10

「ロア先輩♪」

 急いで駆け寄った。先輩と一緒の班なら、何かとやり易くていい。

「よろしく、お願いします」

「それがさ、ルーフェイア……」

 けど先輩、なぜか困りきったような顔をする。


「あの、先輩?」

「あのね、キミの相手……。

――あれ」

 先輩が向こうを指差した。

 そして指差された人物が、振り向く。


「げ、マジかよ」

 イマドのひとことが、すべてを物語っていた。自分が青ざめるのがわかる。

 編んだ銀髪。眼鏡の奥の紅い瞳。

――どうしよう。

 あたし何日か前、この先輩に怒られたばかりだ。


「タシュア=リュウローンです。よろしくお願いします」

 タシュア先輩は、この間のことなど忘れているかのように挨拶をしてくる。

 もしかしたら本当に気にしていないのかもしれないけれど、その冷たい表情からは、何も読み取れなかった。


「あ……は、はい。こ……こちらこそ、よろしくお願いします……」

 声が震えないようにするだけで精一杯。

 けれこの先輩は、何事もなかったふうだ。


「ルーフェイア=グレイスとイマド=ザニエスですね? 六年生ですか」

「は、はい。人数が足りないとのことで、急遽……編入に、なりました」

 タシュア先輩が、納得したような顔をする。

――あたしが内心震え上がってること、気づいてるんだろうか?

 たぶん気づいてるだろう、根拠はないけどそう思う。


「まったく、学院もこんな形で数合わせをするくらいしか、能がないのですかね」

 このあいだのときと同じように、痛烈な言葉が飛ぶ。

「まぁ、ここで言っても仕方ありませんか。

 とりあえず訓練の開始は……24分後ですね。それまでに、大まかな状況を説明しておきましょうか?」

 なにがあっても変わりそうのない、冷然とした態度。

 先輩が見取り図を広げた。


「いいですか? これが突入する建物の簡単な見取り図です。あとは入ってから、逐次確認して行くしかありませんね。

 この建物の突入口は、だいたいこの三ヶ所。うち私たちが使うのは、ここです」

「あれ? 俺ら見張りじゃないんです?」

 イマドが平然と、先輩の説明に口を挟む。こういうところは、彼はすごかった。


「そのほうがよければ、そうしますが? 教官からの指示はありませんからね。何もしなくても、点数だけはもらえるでしょうし」

「え……」

 絶句する。

 もしかしてこの先輩、教官からも疎まれてる……んだろうか?




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