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表と裏 ルーフェイア・シリーズ06  作者: こっこ
Chapter:01 遭遇
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Episode:01 遭遇

◇In Library

 ふっと気配を感じて、その男子生徒は顔を上げた。 

 長身で、整った顔立ちに紅い瞳。

 腰まである髪は珍しい銀色――前髪の一房だけ瞳と同じ紅色――で、それを一度うなじのところでまとめて、さらに三つ編みにしていた。

 掛けられた縁のない眼鏡が、いかにも知的な感じを与える。


 名は、タシュア=リュウローン。おそらく学内でも、知らぬものはいないかという有名人だ。物腰は穏やかで、言葉遣いも丁寧。しかもその態度は上・下級生を問わず変わることがない。


 だが。

「人が本を読んでいる時に、横からのぞかれることがどんなに迷惑か、想像もできないのですか?」

 言葉こそ丁寧だが、その声は氷よりも冷たい。


 実はこのタシュア、その容姿以上に「毒舌家」ということで知られている。とうぜん覗きこんでいた、金髪碧眼、妖精のような雰囲気の華奢な美少女――つまりルーフェイア――も、その毒舌の餌食となった。


「あなたが同じようなことをされた時のことを、考えてみなさい」

「すっ……すみません」

 おそらく悪気などまったくなかったのだろうが、タシュアにそう言われて、ルーフェイアがすくみあがる。


「謝るのでしたら、最初からやらなければいいでしょう」

「ご、ごめんなさいっ!!」

 たちまちその瞳に、涙があふれた。だがタシュアは言葉を止めない。

「なんでも泣けば済むと思ったら、大間違いですよ」

「…………」


 必死に泣くのをこらえようとしている少女を、タシュアは冷たい視線で見返す。

 たまたま居合わせた生徒たちが、この成り行きを心配そうに見ている。だが恐れをなしてか、口を挟む者はいなかった。

 と、そこへ図書館とは思えないほどの声が響く。


「ちょっとタシュア、なに下級生いじめてんのよ!」

「誰もいじめてなどいません。礼儀を失しているのを指摘してあげただけなのですから、むしろ感謝してほしいくらいですね。

 それにロア、あなたも図書館でそんな大きな声を出すなど、上級生の態度とはとても思えませんが?」

「なんですって……!」

 いっぱつで完全に頭に血が上ったロアに対し、タシュアは嫌味なほどに冷静なままだ。



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