ディスカバー・アンド・サプライズ
死体でも匂い探知できるんだ‼
この狼の魔物の死体、鼻無いのに。
どうやって匂い追ってんだろ?
さっきの家?に誰もいなかったせいかシルフィも黙りこくっている。風の音しかしないのは寂しいな。
「ギャンギャン‼」
「どっちだ‼」
いや、待て、そっちは崩壊した城壁の瓦礫の山だぞ‼
お前もシルフィと同じように俺に死ねと!?
「シルフィ、登るぞ。」
「………………………………」
返事がない。ただの屍のようだ。
ふざけてる場合じゃないな。
しかし、さっきから剣の打ち合う音が聞こえるのは気のせいか?
気のせいじゃないな。だんだん近くに来てる。
でも騎士団が全滅するような相手に殺られてないってどんな強者だよ。
「おじちゃん‼お姉ちゃん‼」
シルフィの家族でした。
アルド・レーヴェベルク 殺人鬼Lv12
メルフィム・レーヴェベルク 色仕掛け人Lv8
家族揃って暗殺者かよ‼この世界どうなってんだ!?
「おう、シルフィじゃないか。久しいのう。」
「あ、帰ってきたの?こっちも今終わらせるから。」
今終わらせるから!?これが日常茶飯事みたいな言い方じゃね‼
「心配させて悪かったのう。」
「おじちゃん何でこんなとこにいるの!?」
「シュテンの街で散歩しとったらここが襲われとるのが見えたんじゃ。」
ちょっっっっと待てぇぇぇぇぇ‼
宿屋で話聞いた時一番近い街から60kmって言ってたはず。
てことはこのじいさん、最短でも60km先からここが襲われてるのが見えた上に1時間で着いたってのか!?
どんな身体能力だよ‼
「そっか、良かった。」
シルフィさん家族のこととなると普通に声出せんのはいいけどさ、もっと驚かない?
「はよ終わらして飯でもごちそうになるかな。」
「えぇ!?またなの!?三日前に来たばっかじゃない‼」
「はて、そうだったかの?」
都合のいいじいさんだ。結構な頻度で飯をたかっているらしい。
「さてと、倒し終わったし飯でもごちそうになるかな。」
倒し…倒し終わった!?いつの間に!?俺突っ込んでる間に戦闘終了!?どんな化け物だよ、あのじいさん…
「して、そちらはどなたかな?」
「あっ、はい。シルフィさんとパーティーを組んでいるものでソウマ・サカキといいます。」
「ほう、シルフィの思い人か。良いのう。」
「シルフィ、こんなに小さい子を!?あんたショタコン?」
じいさん、思い人を暗殺しようとするようなヤツがいるか?お姉さん、俺の方が一つ小さいだけで妹をショタコン扱いはひどすぎまっせ。まだ10歳と11歳なんですから。
あれ?暗殺されかけてた理由がわかった気がする。俺この世界ではまだ10歳だったんだ。年下に生意気な口聞かれたらムカつくかもな。でも身長は俺のほうがデカいのか。まあ男女の成長差というヤツか。
「ふつつかな孫ですが、どうぞ幸せにしてやってください。」
「シルフィ、最初からがっついちゃダメよ。攻めはここぞというときまで取っときなさい。」
じいさん、縁談勝手にまとめんな。お姉さん、嫉妬のオーラ漏れでてまっせ。
「そうじゃ、飯はまだかの?」
「忘れなかったか。」
今の雑談の中で何があった。
「ぼうや、色が欲しかったらアタシのとこまでいらっしゃい。」
さっきまでシルフィに言ってた言葉そっくりそのまま言ってやりたい。
「お主どこから来たのじゃ?」
「えっ、あー、遠いところからですかね?」
「もう一つ質問をいいかの?」
「まあ、答えられるものなら。」
「お主前世の記憶があるじゃろ。」