サーチ・アンド・デストロイ
今日僕はとある町の西側に来ています。
まず目に飛び込んでくるのは瓦礫の山…おっと失礼破壊され尽くした綺麗な町並みです。
燻る煙と立ち上る火の手が幻想的な雰囲気を醸し出しています。
さらにここには、可愛い魔物も沢山います。邪狼、殺猿、悪鷹。これらの動物の飼い主は木人形さんです。このお方ペットが好きすぎて、近付いて行くと手に持った剣で襲いかかって来てくれます。
皆様もぜひお越し下さい。
俺は来たくないけどな。今戦いの最中だから仕方ない。
俺もときどき、いや、極稀に攻撃している。
俺は死霊使い(ネクロマンサー)だから前衛にはなりたくない、違った、なれないのだ。代わりに死体が前衛をやっている。
さっき見つけた死体は騎士団長のようだ。強い。
俺が操っているだけだけどね。
「………………右」
「ここを通れと!?瓦礫の山ですけど!?」
「………………………チッ。」
「はいわかりました右ですね。さあ早く行きましょう。」
駄目だ、何言っても殺される未来しか見えない。
今から自分自身を死体人形にする研究をしとかないとな。
いつ暗殺されてもいいように。
しかし、さっきから50体近く葬っているのだが…いつになったら方がつくのか疑問だね
「………………ここ登って」
「今度は死体の壁なんですけど!?」
チャキッ
「さあ参りましょう。家まではもうすぐでございましょう。」
ここまでして機嫌とんなきゃいけないのか。男は辛いよ。
こんなのがパーティーメンバーなんてもう嫌だ。俺が悪いんだけどさ。
疲れた………休みたい…
「………………急いで」
こいつに慈悲はないのか。残酷過ぎだろ。それよりお前が急いでとか言えるのは俺がお前を背負って登ってきたからだよ。
まあ背中の感触を楽しんでいたのは事実だ。俺もこの世界に来るまでは健全な高校生だったのだ。
………そのおかげで俺の頬にはもみじマークがしっかりついているがな。
もうすぐで着くはずなんだが死体の壁の上から見えるのは更地だけだ。………ところでシルフィどこだ?
「ハァハァ、やっと追い付いた。」
姿が見えないと思っていたら500m先を全力疾走してたのだ。
そして更地だと思っていたここがシルフィの家だったらしい。
「………………………守れなかった」
涙が溜まっているのが見えた。
「シルフィ、決めつけるのは早いぞ。」
そうだ。死体がないのだ。死体がなければ死んだとは決められない。
そういや、騎士団長の死体どこ行った?魔力糸は……切れてる。
死んだか。いや、もともと死んでるんだけどな。まあ置いとこう。
探索に優れた死体か。候補は、
・狼
・犬
・狐
・猿
出来れば犬か狼なんだよな。言い方は悪いけどどこかに落ちてないかな。
いた。落ちている魔物だ。違った、横たわっている死体だ。
『亡者行軍‼』
これでよし。さてと、探索開始だ。