ウォーズ・アンド・サイス
あらすじ
主人公がとうとう女子を襲うことを決断しました。
「んな訳ねぇだろ‼」
「…急に何?」
「いや、何となく貶められた気がして。」
「…そんな事してる場合じゃない。」
そうだった。今この街は破滅の危機にあるんだ。
東に向かうにつれて生気すら消えている…気がする。まあいいや、鑑定使って魔物見つけるか。
レンガ
トタン
ウッドパペット
ガラス
漆喰
木
家の材質で視界が一杯だよ‼鑑定なんかするんじゃなかった。あ、一体だけいた。
「その影に一体いるぞ‼気を付けろ‼」
「……血の匂い。」
「えっ…」
カタタン、コトトン、カタタン、コトトン、カタタン……
あ…れ…?あの鎧……確か…この街の……騎士…?
「お前…ら、早……く逃………」
頭が落ちた。下半身はなく、腕は片方千切れている。
守ることに特化した騎士がこうもあっさり……はっきり言おう。勝てる見込みがない。
「……逃げよう。」
「………………………断る。」
武器はない。防具もない。でもやるしかない。
「逃げたいなら………お前だけ逃げろ。」
ウッドパペットの狂った笑顔を潰す‼
踏み込み、効かない、足掛け、効かない、正拳突き、効かない、回し蹴り、効かない、肘撃ち、効かない、膝蹴り、効かない、貫手、効かない‼
「しまっ…‼」
死体に躓いた。瞬間、ウッドパペットの刃が潰れた剣が迫る。
「ゴフッ!?ガハッゲフッ、ゴホッゴホッ‼」
鳩尾、骨折と内蔵破裂は避けられないか。くそ、遠いな、軽く200は飛ばされたか。こりゃ死んだな。
あれ?こっち来ない?なんなん…シルフィ?あいつ、逃げろっつったのに‼いや、違う。逃げる先に高速で移動されて逃げれないのか!早く行って守ってやらねーと。………そういやさっきまで俺のこと殺そうとしてなかったっけ?そんなの後回しだ。治るのを待ってる時間はない。でもこのまま行ったら確実に負ける!見捨てる?いや、武器だ。武器が欲しい。俺が使える武器。………鎌?こんなもんあったっけ?まあいい。これで戦う。シルフィとウッドパペットの距離はもう5歩もない。間に合えよ‼
「………………お姉ちゃん。ゴメンね。」
あと4歩
「カタカタカタカタカタ。」
あと3歩
「………バイバイ。」
剣が振り上げられた。
「キシシシシシシ。」
「笑ってんじゃねぇぇぇぇぇぇ‼」
間に合った。今目の前には朽ちていくウッドパペットがいた。
勝った。
カタタンコトカタコトトンコカタンカコトトン
は?集まってきやがった。俺もここで死体の仲間入りか。
「死んだなこりゃ……」
「………ゴメン。」
死体になるなら綺麗なまんまがいいんだがな。死体、死体…死体!?
「すっかり忘れてたや。」
[ネクロマンサー]
死体に魔力を通し操ることができる。
なるべく傷ついていない死体がいいか。まずは実験だ。足元の死体…結構綺麗だな。
「シルフィ、離れてろ。」
「………うん。」
体全体の疲労感、これが魔力を持ってかれるってことか。
<新しい魔術を創造しました。呪文を設定してください。>
呪文?詠唱のことか?どうでもいいや。
「朽果魂器我魔力仮初魂敵討滅」
<詠唱を記録しました。術名を決めてください。>
『亡者行軍‼』
<記録しました。以降詠唱破棄が可能となります。>
死体が動き出した。鼓動はなく目に光もない俺の始作、俺の鎌を闇で染め上げたような狂器を手に持つ、俺の下僕。