アイム・インア・パニック
随分酷い目にあった気がする。あの女神、両手で数えられないほどの凶器で俺の体にあんなことやこんなことを...思い出しただけで吐き気がする。あの女神、猟奇趣味の守護でもしてんのか。
「おっ、私の転生術で転生酔いしなかったのは君だけだ。」
「転生術!?人体実験の間違いじゃねぇか‼」
「細かいところは気にしない。それが一番だよ。」
「頭まで麻酔まわんなくて自分の内臓見えてましたけど!?」
「......さて、ステータスでも見てみようか。」
「誤魔化してんじゃねぇ‼」
「その世界魔法とかもあるから...」
「それ先に言ってくれ‼てかどうやってステータス見んだよ‼」
「右腕のアンクレットに情報として入ってる。」
「アンクレットって足輪だぞ‼普通ブレスレットだろ‼」
「あ、そうか。まあ、早く確認しなよ。」
「ハイハイ、んじゃいくぞ。」『ステータス‼』
ソウマ サカキ Lv1 HP50 MP500
ATK 10 DEF 10000 DEX 12.5 MATK 0 MDEF 2×5
武器 無し
防具 無し
装飾品 無し
「どうだった?」
「どうもこうも偏りすぎだろ‼防御一万とかチートにも程があるだろ‼敏捷には小数点ついてるぞ‼魔力高いのに魔法攻撃が0じゃ意味ないだろ‼魔法防御にいたっては計算式だし‼まず、初期装備どこいった‼」
「そうか、良かった良かった。安心してこの世界を任せられる。」
「いや、全然良くな..てかなんでこの世界任せようとしてんの!?」
「それじゃ頑張って魔王からこの世界を救いたまえ。さらばだ‼」
「ちょっと待て説明しろ...あいつ逃げやがったぁぁぁ‼」
くそ、ふざけんな。この世界任せたとか言われても不安要素しかないぞ。言葉、食事、住居、通貨、衣服、今思い付いただけでこんなにあるぞ。それに魔王がいるってことは魔物もいるんだろ。
「どうした少年、迷子か?」
「うわっ、出た‼モンスターか!?」
錆び付いた全身鎧に剣と盾、間違いない。こいつドラ◯ンクエ◯トのさま◯う鎧だ。
「なにっ‼モンスターだと‼どこで見たんだ‼」
「お前のことだよ‼」
「俺のこと!?全くこの鎧を見ろ。近くの街の騎士フレッド様だぞ。」
「鎧が錆び付いてるぞ。どんな手入れしたんだよ。」
「それが不思議なんだよ。いつも通り丁寧に洗って雨が降るなか外に干しておいたんだ。」
「雨が降るなか外に干しておいたのが原因だよ‼」
「それでだな、この鎧を着けて壁の巡回警備をしてると必ず冒険者に襲われるんだよ。なんでだろうな。おっと、警備に戻んなくちゃいけねぇ。この辺り蠢く鎧が出るから注意しろよ。」
襲われる理由がわかってないお前の頭になんでだろうなって言いたいよ。
あのブラッドだっけ?あいつ近くの街って言ってたよな。今日はそこで宿でもとりたいな.........あれ?俺通貨持ってなくね?