お祖父さんとの出会い
おさらい。
主人公 半田 修
妹 半田 有美
父 半田 隆志
新キャラ 祖父 半田 巽
都内に住んでいた俺たち家族は、四国の高知県の方まで引っ越すことになった。
というわけで高校二年の2学期という中途半端な時期に転向することになったのだ。
有美はお別れ会という名目で、友達に引っ越しの手伝いをさせていた。全く末恐ろしい奴だ。
一週間ぐらいかけて引っ越しの準備をした後、引っ越し業者に連絡してすぐに四国に向かった。
はたから見たら完全に夜逃げのように見えるだろう。
先に祖父のことについて話しておこう。
祖父は母の父であり半田 巽という名前だ。祖母の弘子とひっそりと暮らしている。
俺の性が、半田なのは祖父からきている。つまり、父が婿として半田家に来たため母型の性を引き継いでいる。
俺は祖父には3歳くらいの時に一度会ったきりで祖父のことは全く覚えていない。
高知についてから、日に12本しか出ない電車に乗って祖父の家に向かった。電車を降りた後も1時間程度歩いた。
祖父の家についたころには、9月というのにいやに残暑が残っていたせいで汗っかきの俺はべとべとになっていた。
祖父の家はお寺のようだった。いや完全にお寺そのものであった。
家に入ると祖母が出てきた。
「修君、有美ちゃんいらっしゃい。
お父さんのことは残念だったね。」
と温かく迎えてくれた。
祖母は年の割には引き締まった体系で背筋が伸びて若く見えた。
なぜか、黒々とした老人がかけないようなサングラスをしているところが気になった。
祖父は腰が悪いので中で休んでいるとのことだった。
玄関から突き当りの広めの部屋に祖父は布団に横たわっていた。
祖父は痩せ型の体系をしていて、白髪交じりの薄い頭であったが、禿げているわけではなかった。
顔はどことなく母に似ていた。
祖父に挨拶をしたあと母が、私が父の葬儀の時にしたあの質問に対して答えてくれた。
「お祖父ちゃんは隙埋師というお仕事をしているの。
隙埋師は霊媒師とか陰陽師とかの親戚だと思ってね。」
「もっとちゃんと説明しなさい。」
と祖父が言った。
「いいえ私が説明しよう。それが筋であろう。
隙埋師は霊媒師や陰陽師のように悪魔、悪霊、物の怪等この世に不調和をもたらす者の存在を有るものとして捉え、それを退治することで調和を取り戻す様な技術ではない。
隙埋師の考え方は逆で、世に不調和が起きたときにこの世に欠けている隙間のような何かがあると捉え、その隙間を埋めることで調和を取り戻すことを生業にする仕事である。」
俺は、現在のこの世にもこんなオカルトな職業が成立することに驚いた。
俺が驚いている最中でも祖父は話をつづけた。
「隙埋師は血族にしか受け継がれない。亡くなったお父さんは婿であったが、もともと古い先祖で繋がっていたらしく隙埋師としての能力を持つことができた。
だから君のお父さんは隙埋師として働いていたのだよ。」
この時、初めて父の職業を理解してた。それと、父の葬儀の時、そうのような人が多いことも理解できた。
祖父の発言で引っかかることがあったので質問した。
「血族ってことは俺にもできるものなの?」
「ああ。修行すればできるとも、言わば修は隙埋師のサラブレッドだよ。期待してるよ。」
祖父は笑いながら言った。
祖父達との会話を一段落終えて、明日から行くことになる学校の見学に行くことにした。
高校と中学校は併設されているので有美も一緒に連れて行った。
高校までは、電車で行くことになる。前の高校は自転車通学だったので電車通学という新しい通学方法に少しのワクワク感があった。
電車通学といってもたったの一駅分で自転車で行こうと思えばなんとか行ける距離なのだが、道が都会に比べて塗装されていない為自転車がパンクが頻発しやすいということで電車通学となった。
ちなみに、家から駅までは、祖父の車を使って母に運転してもらったきた。
無知な有美に電車の乗り方を説明しながら、祖母の書いてくれた地図を学校に向かった。
幸い駅から近く、地図も必要ないくらい簡単に到着した。
学校は、前似通っていた高校よりも大分小さく、田舎の学校という印象を受けた。
学校は植物に覆われていて、普通の学校にあるような大きな門ではなく、民家の駐車場にあるような門があり、隣の壁に学校名が書かれている。学校名は大桶山高校だ。ちなみに中学も大桶山中学校だ。
門を通るとグラウンドがあり、その奥に学校がある。
学校はレンガ調の壁になっていて、ちょっとしたお城の様なきれいな建物だった。
中学校は道を挟んだ隣にあり、高校と同じようにレンガ調の建物だった。
制服を着ていない俺たちは学校に入ることをやめて、少し散歩をしてから帰ることにした。
俺たちは、学校を回るように散歩することにした。駅から反対気来たあたりに、井上商店という店があったので
そこで飲み物を買うことにした。中はコンビニほど明るくなく、品ぞろえも良くなかった。最低限の品ぞろえはある感じであった。
俺はスポーツ飲料、有美はカップかき氷を選んでレジまで行った。
レジは、溌剌としたおばさんが対応してくれた。
「どうもありがとう。
あら?あなたたち見ない顔ね。高校生かな?」
「はい。最近引っ越してきて高校二年生になります。
こっちの妹は中学3年生です。」
「高校二年生なの?」
おばさんは、目を見開いて驚いた。
「うちの愛華と同じじゃないの」
俺はおばさんに娘がいて、その娘がそのレンガ調の学校通っていると察した。
「そこの学校ですか?そこの学校で同じ2年生なら、もしかして同じクラスになるかもしれませんね。」
「クラスは1クラスしかないのよ。ちょっと待ってて。」
おばさんはレジを終わらせた後、娘を連れてきた。
背は低めで、ショートカットでとても笑顔がにこにこしてかわいらしい子だった。
「こんにちは、井上愛華です。よろしくね」
とても明るい挨拶が来た。
「東京から来た、半田修です。こちらこそよろしく」
と返答した。愛華は人懐っこい性格らしく色々質問をかけてきた。
主に東京についての質問だった。質問には俺よりも有美のほうが答えていた。
お喋りだけどうざったい感じのしない子という印象を持った。
愛華のおかげで高校転入の不安は少しは消えた。
俺たちは談笑した後、家に帰った。
ここまでがプロローグのようなものです。
次回から本編となります。




