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戦国哀歌99

さに非ずやと、才蔵は息をついた。

旅籠の中。





煮物に箸を通しながら才蔵は思う。





出来れば自分を欺いた男と接触を図り真相を究明したいが、叶わぬ夢かと。





間者は間者の役割を為し、自分は欺かれ利用されて棄てられただけなのだ。





それを思うと臍を噛み、口惜しさだけが募る。





幸助に毒消しをもたらし、綾の喜ぶ顔を見たい。





だがそれも又叶わぬ夢のごとしか。




決戦に馳せ参じ、武勇を轟かせたとて、幸助の病は癒えない。





そして敵を何人討ち取ろうが、胸の内にある恋心は成就しない。




これが御仏の御心であり、我が試練ならば、それを甘んじて受け、戦場で死ぬのも、又仏門の生業ならば、本望かと才蔵は己に問う。





さに非ずや。





つくづく情けない。





その一語に尽きると、そう才蔵は思い、息をついた。

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