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戦国哀歌97
雑賀衆の僧兵頭が奇襲の戦術を吟味する。
雑賀衆の僧兵頭は信長奇襲の戦術を吟味する。
勝算は信長の軍勢が戦に疲弊する事にあるならば、公算は大と言えよう。
信長はこたびの決戦に於いても船の調達に手をこまねいているからだ。
大軍を擁して篭城する味方を攻めても、船が無ければ機動力を欠き、おのずと限界がある。
大軍に依る力攻めで例え砦や二、三の城は陥落出来ても、牙城たる本丸は陥落せしめない事が予測出来る。
一進一退の攻防が長引けば、当然信長の軍勢は疲弊し、退却するだろう。
その時、信長の本隊を巧みに隘路に誘う戦術が肝心なのだ。
分断したところで隘路に誘い、伏兵が奇襲する形。
それしか戦術はなく、その戦術を地の利、天の利、様々な角度から兵法に則って、粒さにシュミレーションして行き、僧兵頭は一つ深呼吸をした。




