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戦国哀歌96
男の正体を是が非でも暴き特定しなければならないと、長老は考えた。
長老は考える。
才蔵は出会った男にたぶらかされ、間者たる男を手引きして逃亡さえも手伝った。
その男は才蔵に手掛かりをもたらしたのだが、才蔵はたぶらかされている故にそれを信用せず、胸に秘め口外しなかったのだ。
じゃがと長老は自問自答を繰り返す。
その男が例えば才蔵に嘘を言っていても、それは関係ないと長老は思う。
何故ならば、その男そのものが毒消しの手掛かりであり、その正体を暴き特定すれば毒消しには到達出来る筈だからだ。
才蔵はその男の正体が特定出来ず掴めないからこそ、皆に嘘をついたのだ。
ならばその男の正体を、是が非でも特定して毒消しに辿り着くしか手はないと結論を下し、長老は腕を組み瞼を閉ざして息を吐き出した。




