82/250
戦国哀歌82
眼を凝らして小屋か洞を見付け出そうと、僧兵が言った。
雨が止み、視界が開けたところで僧兵が綾に言った。
「眼を凝らして洞がありそうな場所と小屋を探そう」
綾が尋ねる。
「何故じゃ?」
僧兵が言葉通り周囲に眼を凝らしながら答える。
「長時間に渡り山狩りと天候から逃れる為には、目立たない小屋か洞が一番良いわけじゃ」
綾が答える。
「成る程。しかし洞はそういう処もあるやかもしれないが、小屋は目立ってしまうだろう。違うか?」
僧兵が否定する。
「いや、目隠しになり、人の見えない角度にあれば小屋も分からないじゃろう」
綾がしきりに頷き言った。
「分かった。見過ごしそうな処を注意深く見れば良いのじゃな?」
「そうじゃ。じゃが余り猶予は無い故、迅速且つ的確に見よう」
綾が恭しく頷き言った。
「相、分かった」




