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戦国哀歌81

こうなったら自害して果てるしかないと、悔し泣きしながら才蔵は考えた。

我に返り、才蔵が立ち上がって、小屋の戸を潜り抜け、雨に煙る山林に飛び出した。





だが既に男の姿はなく、足跡も雨で掻き消され、どちらの方角に向かったのかさえ分からなくなっている。




才蔵は込み上げて来る憤怒に任せて、懐から短刀を引き抜き、やみくもに振り回しながら雄叫びを上げ、狂おしく獣道に飛び込み、突き進んだ。




だが男の姿はどこにもなく、才蔵は立ち止まり、再び狂おしく雄叫びを上げ、雨で濡れた額を手の甲で拭い、悔し涙を流し出し、なりふり構わず短刀を振り回し、号泣した。




そして一度しゃくりあげ、鼻をすすってから、才蔵は脱力したように肩を落とし、短刀を手にしたまま来た獣道を引き返し始めた。





自害して果てるしかないと才蔵は考え、己の情けなさに溢れて来る大粒の涙を拭いもせずに、泣き続けた。

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