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戦国哀歌76
綾が僧兵長に礼を尽くす。
僧兵長が相槌を打ち言った。
「分かりました。砦戦を控えている折り、二人の処分はあなた方に一任し、山狩りも本日を以って中止とします」
僧正警護の僧兵がこうべを垂れ、礼を述べる。
「有り難き御判断まことに痛み入ります。併せて本日我等も山狩りに参画しても宜しいでしょうか?」
僧兵長が頷き言う。
「構いませんが、これだけ探索を続け、見付からない由ならば、二人は遭難し、命無い可能性が高く、それでも宜しければ」
僧兵と綾が同時に合掌を為し、念仏を唱え、綾が言った。
「命失せているとあらば、その骨を拾い弔うのが御仏の導き故にございます」
僧兵長が合掌を為し答える。
「仲間を思う心根、きっと御仏に通じるものと思います。しかし本日は雨、探索は難儀を極めるかと存じますが、大丈夫でしょうか?」
気遣われ、綾が合掌し返礼する。
「御気遣い痛み入ります。御仏の加護の下、粉骨砕身全力を尽くす所存です」




