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戦国哀歌71

最大限の善意としての裏切り手掛かりを、俺はあんたに贈るつもりなんだと、男は言った。

薄暗い炭焼き小屋の中。





冷笑したまま男が続ける。





「しかしあんたは底抜けの裏切りお人よしだな。あんたみたいな裏切りお人よしを俺は見た事が無いぞ。見上げたものじゃ」





才蔵が怪訝な顔をする。





「何じゃ、その裏切りお人よしというのは?」





男が黒い笑みを絶やさず言う。





「あんたは一向衆の仲間を助けるために、一向宗全体を裏切った。そうする事に依ってあんたは仲間を助けられるかどうかも分からないのに、一向宗全体を裏切り、その結果例えば毒消しが調達出来ても、あんたは一向宗全体を裏切っているから、仲間を助ける事は出来なくなったではないか。それを俺はお人よしの裏切り者と言っているのさ」




才蔵が険しい顔付きをして言った。




「お主、わしを馬鹿にしているのか?」




男が唇を強く結びつつ微笑み言った。




「いや馬鹿にはしていない。あんたは一向衆を裏切って、俺に裏切りの玉をくれたではないか。言わばあんたは俺の裏切りの恩人。だからあんたの裏切りには俺は裏切りで以って返そうと思っているのさ」




才蔵が男を睨みつけ言う。





「その言葉はわしに手掛かりを教えないと言う事か?」





男が愉快そうに笑い言った。





「いいや、あんたが俺を生還させる目処がついたら、俺はあんたに裏切りとしての手掛かりを教えてやろうと考えているのじゃ。それが俺の裏切りとしての最大限の善意なのさ」

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