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戦国哀歌70

いや、俺が無事生還出来たらの話じゃ。ここで教えたらお主は俺の寝首をかくからのうと、男は言った。

山狩りは心理作戦と言えよう。





四方八方からドラを叩き、怒号を上げ恐怖心を植え付け追い込んで行くやり方。





怯え、地の利の無い山林を慌てて逃げ惑えば自滅する可能性も高く、自ら墓穴を掘ってしまう。





二人はその過ちを犯さなかった。





山深くに置き去りにされたような炭焼き小屋を見付け逃げ込んだのだ。




その炭焼き小屋は木々に紛れるように建てられているので人目につかず、追っ手の眼から逃れるにはうってつけのものと言って良いだろう。





山林の朝夕は想像を絶する程に冷え込む。





だが鄙びた炭焼き小屋も家屋には違いなく、中に入り寄り添って暖を取れば何とか凌げはする。




そして涌き水で水分補給をし、木の実等を食し、じっと待機する。





拷問を一身に受けて身体機能を冒され、動きが鈍くなっていた男の状態が幸いし、この炭焼き小屋を発見出来た事は、正に二人にとっては僥倖と言えよう。




才蔵が言った。





「この小屋を離れず、山狩りが収束するのを待つしかない」





首をひねり男が尋ねる。





「こちらの思惑通り山狩りは収束するじゃろうか?」




才蔵が相槌を打ち、断言する。





「必ずする。と言うか、ここまで来たのじゃし、お主、そろそろ毒消しの手掛かりについて教えてくれても良いのではないか?」





男が青痣の出来た首筋を摩りながら冷笑し答える。





「いや、俺が無事生還出来たらの話じゃ。ここで教えたらお主は俺の寝首をかくからのう」

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