戦国哀歌66
惨たらしい拷問は冷酷に続けられる。
納戸の中。
手足を縛られている男の背中に容赦ない前蹴りが入れられる。
絶叫し、男がひたすら許しを請う。
「俺は間者などではない。俺は囚われの身になっている妹の事を尋ねようとしていただけなのに、それを探索だとして勘違いし、間者だと決めつけたのはそっちじゃないか。そんなの言い掛かりもいいところた。違うのか?!」
拷問を仕掛けている僧兵に向かって下がっていなさいと命じた後、僧兵長がうずくまりつつ尋問する。
「あの砦に牢獄じみたものがあるという事実自体が無根、現実問題無いのを、あなたは知っているのでしょう。そして、あなたは自分の事を非人と主張しているが、その出生地を正確に言う事が出来ない。後、あなたは他の寺に行き、非人を理由に志願出来なかったと言っていますが、それを裏付ける証拠もなく、そんな情報は私の耳には一切届いていません。それに加えて、あなたは一緒に来た仲間に毒消しの手掛かりを与えると嘘をついている。それがあなたを間者だと断定する証なのですが、違いますか?」
殴られて顔が腫れ上がっている男が声を限りに叫ぶ。
「言い掛かりだ、言い掛かりもいいところだ。天地神明にかけて、俺は間者なんかじゃない。言い掛かりを付けて打ち首獄門なんか余りにも理不尽じゃないか?!」
僧兵長が見るからに屈強な僧兵に再び手で拷問を促し、僧兵が男に力任せの暴行を加えて行く。
男が絶叫を上げるが、惨たらしい拷問は冷酷に続けられて行く。




